<ベテランが起こした静かな感動・・・佐藤信人の復帰元年に注目だ>
ツアープレーヤーたちのストレス発散法<佐藤信人選手>
最近、佐藤がハマっているのが、プロ野球観戦。専属キャディの友人を介して、中村紀洋選手と知り合ったのをきっかけに、特に対・近鉄戦がお気に入り。「時には、週に2回行くこともある」というほどの懲りようだ。
先週の月曜日にも、近鉄VS日ハム戦を楽しんでリフレッシュした佐藤。
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「見てください、これ、そのとき出来た傷なんです」と、ふいにズボンをまくりあげると、スネの部分には、まだ乾ききっていないカサブタがあった。
野球観戦で、なんでまたそんな怪我が・・・? 理由を聞くと、傑作だった。
なんでも佐藤は、球場に向かうときはいつも、「マイグラブ」を持参。
スタンドに席を確保すると、やにわにグラブをはめて腰を低くかがめ、構えのポーズ。それで飛び込んでくるホームランやファールボール、そのほか選手たちがファンサービスで投げ込んでくれるボールをキャッチするのが「ひそかな“マイブーム”」なのだそうだが、周りには、同じようにボール目当てに血眼になっている野球少年たちがいる。
佐藤は、そんな彼らに勝って誰よりも早くボールを奪い取りたいがために、時には、狭いスタンドで派手な“ダイビングキャッチ”を試みることがあるというのだ。
「このカサブタも、そのときのもの。ボールを取るのに夢中になって、そこらへんのベンチやらなにやら、お構いなしに走るもんだから、知らないうちにあちこちぶつけてて。この怪我も最初しばらく気が付かなくて、ふと足元を見ると血がダラダラ流れてた(笑)。いやあ、ビックリしましたよ」
また別の日には、こんなハプニングもあった。いつものように少年たちと争った末に、無事ボールをゲットしてホクホク顔でいた佐藤。すると、そこへひとりの男性が近寄ってきた。
どうやら、さきほどボールを奪い合った少年の親とおぼしき人物。
(“うちの子に、さっきのボールを譲ってやってくれ”ってねだられるんだ)と、身を固くした佐藤に、その男性は色紙を差し出しこう言った。
「佐藤プロですよね!! 大ファンなんです、サイン下さい!」
おとなげない行動の一部始終を見られていた恥ずかしさに、佐藤は顔を赤くしながらペンを走らせたそうな。
そんな数々のアクシデントを経験しながらも、佐藤にとってこの“野球観戦”は、いま、一番のストレス発散法で「楽しくって、やめられない」。
プロ野球のスケジュール表とにらめっこしながら、「う~ん、次はどの会場で“キャッチ”しようかな」
・・・まったく懲りていない、佐藤なのであった。
※日本ゴルフツアー機構が発刊しているメールマガジン(プレーヤーズラウンジ)より転載しています。