谷口徹と藤田寛之は明暗分かれる
素顔のツアープレーヤーたち <谷口徹選手>
昨シーズン終盤。
谷口徹が、報道陣や関係者にむけて、こんな提案をしました。
「僕のことを、“タイガー”と呼ぶのは、やめませんか…?」
<< 下に続く >>
攻撃ゴルフと、プレー時のガッツ溢れるパフォーマンス。
とりわけ、キメのシーンで繰り出すガッツポーズは「まるでウッズさながら」と評判になったのは、いつのころからだったでしょうか。
以来、谷口は何かにつけてその姿をウッズと重ねられるようになり、周囲から、「和製タイガー」「タイガー・谷口」などと、呼ばれるようになったのです。
谷口自身も、ウッズを目標の米ツアーの象徴としてとらえ、「いつかは、直接対決で彼を倒してみたい!」と、折に触れ、負けん気むき出しで話したものでしたが、ある大会をさかいに、そんな谷口の口調に“慎重さ”が加わるようになりました。
それは、11月のダンロップフェニックスでした。
体調不良をおして大会に臨んだ谷口は、“本家本元”と予選2日間を初ラウンド。そこで谷口は、痛感します。
「力の差が身にしみました。彼のプレーを間近にして、『僕はやっぱりまだまだ』だってことを、はっきりと思い知らされたんですよ」
・・・たとえ周囲が勝手に呼び始めた愛称にせよ、自分がそれほどの選手の名前をつけて呼ばれることは、あまりにも本人に失礼ではないか、と谷口は考えはじめたようでした。
しかし、かといってそれで谷口の闘志が萎えてしまったわけでは、もちろんありません。
昨年末、谷口はきっぱりとこう言いました。
「僕も、タイガーとは違う方向からの努力を続けていって、いつか絶対に彼に追いつき、いずれは彼に勝てるよう、これからも頑張っていくつもりです」
ウッズとのラウンドが、今の自分の実力を冷静に分析させたのと同時に、「それでも自分は、世界レベルに立ち向かっていくんだ」という、強い覚悟と逞しさを、改めて、谷口に与えたような気がします。
賞金王として迎える今シーズン、谷口は、2年連続でマスターズトーナメントへの切符を手に入れました。
開催の4月を照準に、オフシーズンの今はさらなる飛躍を期して、ワザと身体をひたすら磨く毎日です。
※日本ゴルフツアー機構が発刊しているメールマガジン(プレーヤーズラウンジ)より転載しています。