石川遼が求める「いい塩梅」のアプローチ 伊澤秀憲氏の“検定ホール”を称賛
男子プロゴルファーの石川遼は8日、神奈川県内で行われたイベントに出席した。プロコーチ・伊澤秀憲氏の監修により平塚市内のショートコースに完成した「アプローチ検定ホール」のお披露目会。小袋秀人、女子プロの都玲華とともに小中学生との時間を過ごした。
ツアー16勝の伊澤利光のおいとしても知られる伊澤コーチは、小学生時代に石川らと競い合い、天才と称されたゴルファー。この日の参加プロのひとりである大澤優らを指導している。チッピングのうまさに定評があり、今回はジュニアをはじめとしたアマチュアの技術向上を目指して相模川に沿う河川敷コース、湘南銀河大橋ゴルフの協力を得た。
約1年かけて大改造した2番ホールのグリーンは、左手前から右奥にのびる砲台型。高さの違う“面”を4つ配置して多くの傾斜を設け、周辺にポットバンカーも用意した。あらゆるライから転がして、上げて、スピンをかけて…とゴルファーの想像力をかきたてるつくり。このエリアで行う検定について「初級、中級、上級…という感じで始めて細分化したい。(柔道の)“黒帯”のようにバッグにつけられるタグなんかもあれば」と構想を練っている。
何を隠そう石川も、同学年の伊澤コーチからウェッジのテクニックを教わっているひとり。年明け以降、新しい打ち方にも挑戦している。これまで「(持ち球の)58度でドローをベースにした低い球」と「バンカーショットのように激しいロブショット」を得意としてきたが、「その間の、“いい塩梅”がなかった」と明かす。「僕はウェッジを開いて低く打つのは得意だが、開かずに柔らかく上げるのが苦手。先を考えると、絶対に打てなければいけない」
そこで助言をもらい、バリエーションに加えたのが「クローズスタンスで、クラブを直線的に使うイメージ」をもとにしたアプローチ。4月の国内ツアー「東建ホームメイトカップ」開幕を控えてLWのロフトもハイバウンスモデルの58度からローバウンスの60度に回帰した。距離感も作り直し、汎用性が高く、ベーシックな技術を改めて磨いている。
伊澤コーチは“魔法”のようなウェッジワークでジュニアやプロも驚かせるが、上達のコツは「ゴルフに限らず、何ごとも絶対に経験値が大事。誰よりも、いろんなことを試したり、新たな経験を積んだりすること」だと語る。石川もその考えと、今回のビジョンに賛同。雪と雨が舞うイベントを終え、「インパクト前後の世界は説明できないことが多いが、秀憲は『なんとなくできる』という感覚を言語化することにトライしている旅の最中。天才的な技術を持っていて、かつそれを説明できるところがすごい」と称賛した。(神奈川県平塚市/桂川洋一)