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どん底から復活した姉に学んだもの 河本力が取り戻したい2年前の“勢い”

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 3日目(24日)◇芥屋GC(福岡)◇7274yd(パー72)◇晴れ(観衆7226人)

飛距離が武器だからこそ、4つのパー5は全部、ティショット次第で2オンを狙える。優勝争いに大事なムービングデー、河本力は前半6番で渾身のイーグルを奪った。残り172ydは8I。「めちゃくちゃいいカットボールで、距離も完璧」とピンそば3mにつけて、通算9アンダーにスコアを伸ばした。

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首位との5打差を追い、14位から出たこの日、1イーグル6バーディ、2ボギー1ダブルボギーの「68」で回った。予選2日で「69」を並べ、3日間連続の60台。この日の13番(パー5)と2日目の2番で喫したダブルボギーに悔やしさは残るが、安定したスコアを出せているのは「自分の状態がすごく良くなってきている」ことの証明でもある。

ツアー関係者の誰もが認める才能を持ちながら、今季はどん底にいる。国内ツアー出場11試合で最高は5月「中日クラウンズ」12位。予選落ちは開幕戦から2連続など6試合を数え、6月のメジャー「全米オープン」も決勝ラウンドに進めなかった。

そんなシーズンに女子プロの姉・結が2週前、5年ぶりのツアー優勝を飾った。今季だけで12度のトップ10を重ねた末の復活劇。「苦しんでいたけど階段を上がっていくところを一番近くで見ていたので感動しました」という。

姉は2019年の初優勝から一転、20―21年、22年、23年と3シーズン連続でシードを逃した。「段階を踏まずにいきなり優勝を狙ってもこけちゃう」と学んだ。姉からは「着実に予選通過して、着実にトップ10に入れるようになってから、優勝を狙わないと自分にプレッシャーをかけるだけで良くない」とアドバイスを受けた。

今週は2年前にプロ初優勝を飾った大会だ。「あの時は必死で、必死で、必死だった」。とにかく結果を求め、力を出し切れるように臨んだ。「今はその時その時で自分の状況とかをある程度は考えられるようになった」と経験を重ねて得たものを感じる反面「だけど、やっぱりあの時の方が“勢い”はあった。それがたぶん強さだったり、スター性ってものだったりすると思う。失いたくない。どんどん磨いていって強い選手になりたい」という。

最終日は首位と6打差を追ってスタートする。2週前の「横浜ミナトチャンピオンシップ」は首位と7打差11位から迎えた最終日に「78」と大崩れして55位に沈んだ。

「最終日だから攻めるってやったら…。今週はこの3日間と変わらずに、しっかり自分のできることを全力でプレーしたい。朝から鼻息荒くしてやる必要はない。ちゃんとトップ10に入る、ということを大事にしたい」。冷静さと勢いへの憧れ。相反する思いを抱えながら、足元を見据えてプレーすると決めている。 (福岡県糸島市/石井操)

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