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戴冠を決定づけるイーグル締め 中島啓太が亡き友人に捧げる賞金王

◇国内男子◇カシオワールドオープン 最終日(26日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7335yd(パー72)◇晴れ(観衆2820人)

賞金王が決まるかどうかの最終局面で、「ラッキー」は2度あった。「最後のイーグルも“彼”の力だと思う」。中島啓太のもとに友人の訃報が届いたのは、最終ラウンドを迎える前日のこと。「彼のためにも、絶対に今週賞金王を決めたい」。最終18番(パー5)のイーグルで賞金王を確実にすると、空に向かってこぶしを突き上げた。

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今大会を賞金ランキング1位で迎え、2位の金谷拓実とは約4033万円差。金谷よりも上位で大会を終えれば賞金王が確定する。そんな状況のなか、アマチュア時代からしのぎを削ってきた2学年上の先輩が阻止に向けて立ちはだかる。

最終日は、首位の金谷を2打差で追う立場。金谷が2番(パー3)でダブルボギーをたたいてスコアが並び、さらに8番、9番の連続ボギーで中島が一時4打リードした。後半に入って金谷が巻き返してスコアを伸ばすと、中島は12番(パー3)のボギーで勢いが止まる。バーディが来ないまま18番を迎えた時点で、再び金谷に通算10アンダーで並ばれていた。

風によっては2オンが狙える18番は、ここまでの3日間でティショットが2度右のラフにつかまった。「気持ち悪かった」とあまり良いイメージがないティショット。それでも「イーグルを獲って、金谷さんとの差をつけたいと思った」と迷わずドライバーを振り切った。

「きょうはフォローだったので、左のバンカーを越すつもりでマン振りしたら…曲がりました」と渾身の一打は左に曲がった。ボールはカート道で止まり、救済措置を受けてラフにドロップ。265ydの第2打をグリーン右サイドに運ぶと、3打目のアプローチがカップに吸い込まれる劇的なイーグルフィニッシュ。「ドロップできなかったら、2オン(近くまで運ぶことが)できていなかった。最後(のアプローチ)も左に跳ねたけど、最後にスライスして真ん中から入ってくれた」。イーグルに導く2度のラッキーは、友人が背中を押してくれた気がした。

小学生からの幼なじみが数日前に亡くなったことは、第3ラウンドを終えて母・美知子さんから知らされた。「初日と2日目は思うプレーができなくて、母がイライラを感じ取っていたと思う。(最終日は)やることが決まっているので」。このタイミングで伝えたのは、母の気遣いだった。

通算12アンダー4位で終えて、次週の最終戦「日本シリーズJTカップ」を前に賞金王を確定させた。「素直に、うれしい」と喜びながら、次は最終戦での優勝を狙っている。「今週は勝てなかった選手なので。まだ1試合残っているので優勝したい」。最後まで勇ましい姿を友人に届けたい。(高知県芸西村/谷口愛純)

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