<スコア> ダンロップフェニックス
2023年 ダンロップフェニックストーナメント
期間:11/16〜11/19 場所:フェニックスCC(宮崎)
「松山さんに勝つやん…!」 20歳・細野勇策の“ウィニングパット”の行方
◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 3日目(18日)◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71)◇晴れ(観衆4707人)
わずか1ラウンドのことと分かってはいても、20歳にとっては興奮材料になる。最終18番(パー5)、細野勇策は1.5mのバーディパットを前にキャディとささやき合った。「これを入れたら松山さんに勝つやん…!」。同じ組でプレーした松山英樹とは直前まで同スコア。気持ちを込めたボールはカップの脇をすり抜け、ともに「71」で終えた。
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“ウィニングパット”が外れて、「思ったように打てたんですけど、ぜんぜん切れなくて」と悔しがる。マスターズ王者との同伴プレーは、前日2日目の夕方の練習グリーンでリーダーボードを眺めて確認。「もう本当にうれしかったですし、楽しみでしょうがなかった」と心が躍ったという。
喜び勇んで迎えたこの日、コースには風速11mの強風が吹き荒れた。スタート前のバンカー練習でレフティは松山と向き合ってスイングした。序盤の緊張感を乗り越えた7番(パー5)から2連続バーディ。直後に連続ボギーを叩いたあとも11番(パー3)でバウンスバックを決め、大ギャラリーから拍手を浴びた。
プロになって2年目。松山が「マスターズ」を制した2021年4月当時は「ニートでした」と日本プロゴルフ協会のプロテスト合格を目指す身だった。「その時はここでお会いするとも思っていなかった」。昨年末の最終予選会を8位で通過。開幕戦「東建ホームメイトカップ」を5位で終えシード初獲得への足掛かりにした。前週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で今季4回目のトップ10入り。体重が4kg減って76kg近くになったのは、シーズンの連戦を初めて経験した代償だ。
濃密だった18ホールは「本当に良い経験で、すごく幸せな時間でした」。松山とスコアは同じでも、「参考になると言ったらおこがましいくらいですけど、ずっと良いショットを一日見させてもらいました。ショットがすごすぎて全部カッコいい。一番は安定感。同じミスショットしない。ずっと同じことをされる」と“違い”を随所で感じた。
貴重な時間を終えた末に上位に踏みとどまっている。通算5アンダーは首位と7打差の4位。最終日はそれぞれ別の組でリーダーのアマチュアを追いかける。杉浦悠太(日大4年)は練習ラウンドをともにしたこともある1学年上の先輩。「アマチュア時代から敵わず、ずっと追いかけてきた選手。そういう人とプレーできるのがうれしい」。興奮はまだ続く。(宮崎市/桂川洋一)