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「コリン・モリカワ選手のように」 中島啓太が“赤シャツ”で手にした逃げ切りV

◇国内男子◇マイナビABCチャンピオンシップ 最終日(5日)◇ABCGC(兵庫)◇7217yd(パー72)◇晴れ(観衆1534人)

ゴルフ界で「赤シャツ」と言えばタイガー・ウッズだが、中島啓太の“それ”は違った。

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10月22日。日本開催の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」最終日に「63」をマークし、後続に6打差をつけてぶっちぎったコリン・モリカワ。51位に終わった中島が「最強でした。鬼のように強かった」としびれた、その日のモリカワが赤シャツだった。

そもそもモリカワ好きだ。モリカワが21年「全英オープン」を制した時、周囲への感謝にあふれた優勝スピーチを聞いて「ああいう人になりたい」と心酔。そんな憧れの人が見せた強者のゴルフ。前週のオープンウィーク、中島は埼玉の自宅で休養、練習、トレーニングをばっちりこなし、「こんなに調子がいいのは久しぶり」と手応えがあった。出発する際、バッグに赤シャツを忍ばせた。

「もしかしたら自分も…という感じがあって。コリン選手のように(赤シャツを)着たいな、と」。これまでシャツは母校・日体大カラーの青か、無難な白や紺がほとんどで、赤はなかった。なのに、大会開幕前日の水曜日に「最終日に着よう」と決めた。それほど自信があった1週間だ。

赤シャツにふさわしい強いゴルフを見せつけた。「63」で首位発進。2日目は「69」で3位に後退したが、3日目に「66」。単独首位から出た最終日も「66」をマークし、スタート前は1打だった差を3打にひろげた。通算24アンダーは03年大会で片山晋呉が樹立した大会記録を1打更新した。

最終日は“強者のマネジメント”だった。2、5、7番はティショットをフェアウェイに置き、ウェッジで1m、1mm、50cmにつけた。実測207ydの3番(パー3)はアゲンストの風を、4番アイアンのドローボールで貫いてピン右4mへ。6番(パー5)は2オン狙いの2打目をピンから離れた左バンカーに入れ、30ydを2mへ。前半7ホールの5バーディで混戦を抜け出した。

風の判断ミスやミスショットで停滞した中盤、一時は後続に1打差まで迫られたが「焦りもあまりなかった」という。勝負を決めたのは15番(パー5)。残り264ydを3Wでピン右2.5mにつけ、文句なしのイーグルを奪った。

アマチュア時代を含め、ツアー通算4勝目は初の逃げ切り劇。「賞金レースを意識しながら勝てた。今までの優勝の中で、一番調子が良かった。そういう中で勝ち切れたのはかなり自信になります」

次戦の「三井住友VISA太平洋マスターズ」終了時点で賞金ランク1位に立てば、来季のPGAツアーおよび下部コーンフェリーツアーの出場資格を争う最終予選会(ファイナルクオリファイイングスクール/フロリダ州TPCソーグラス)への出場権が得られる。今大会前、約120万円差を追いかけていた金谷拓実を抜き、1952万180円差をつけて1位に浮上。次戦で金谷が単独2位(賞金2000万円)未満であれば1位が確定する大差をつけた。

それでも、気は緩めない。「来週は金谷さんが大好きなコースなので」と2週連続優勝を狙うぐらいの強い気持ちを持つ。手を緩めず、徹底的に勝つ―。それがモリカワのような「赤シャツ」が似合うプレーヤーだから。(兵庫県加東市/加藤裕一)

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