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“魂込めた”メジャー完全Vの舞台裏 金谷拓実から闘病中の母へメッセージ

◇国内メジャー◇BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 最終日(4日)◇宍戸ヒルズCC西コース(茨城)◇7430yd(パー71)◇晴れ(観衆5706人)

1打リードで迎えた難関17番、金谷拓実のウィニングショットが出た。左ラフから残り195yd、池越えのセカンドは「キャディさんはレイアップも考えたんじゃないかな」と振り返るほどタフなシチュエーションだった。6Iを振り抜いて「Go!」と叫んだ一打は、グリーンと池に挟まれた数ヤードほどのエリアにキャリーしてピンそば50㎝についた。

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本人は「多少奥に行ってもしょうがない、と。(キャリーの位置は)まさか、狙ってないですけど…」と笑ったが、同じ最終組で争った中島啓太が「魂のこもったボール」と表現したスーパーショット。「今週のテーマは積極的にプレーすること。1打のリードを守り抜こうとしたら、最後まで行けなかったと思う。自分らしいプレーを心掛けました」。2打差に広げて勝負を決めるバーディに胸を張った。

中盤はシビアなパーパットをことごとく沈め、勝負どころの終盤で果敢に攻めて突き放す。持ち味である粘り強さ、内に秘めた闘志をいかんなく発揮した。「彼も諦めずに戦うスピリットを見せていて、相乗効果じゃないですけど、強い気持ちで打てた」。アマチュア時代から切磋琢磨してきた中島に触発されてのプレーというだけでは片付けられない。

表彰式で明かしたのは闘病中の母・美也子さんへの思い。海外転戦が続く中で一時帰省した昨夏、母から乳がんであることを打ち明けられたという。「すごく動揺しました」。心配をかけまいと自分の前では元気に振る舞おうとしてくれるものの、いまも入退院を繰り返している状況。海外で予選落ちが重なっていた時期に気持ちが奮い立った。

「母の姿を見て、また頑張ろうと思った」。前週は地元の広島からも近い岡山での「ミズノオープン」。最終日最終組で争ったが、応援に駆けつけてくれた母の前で勝つことはできなかった。「目の前で見せられなくて。でも、今週の優勝をテレビで見てくれていると思うし、少しでも励みになってくれたら」。完全Vでの国内メジャー初タイトル。時折言葉を詰まらせながら語った思いこそ、最大の原動力だった。(茨城県笠間市/亀山泰宏)

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