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“メジャーしか勝てない男”返上 稲森佑貴が念願の和合制覇

◇国内男子◇中日クラウンズ 最終日(1日)◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557yd(パー70)

「最終日はこれを着ると決めていた」という水色のシャツは、鮮やかなクラウンズブルーのジャケットと絶妙にマッチしていた。稲森佑貴にとって、ここ和合は事あるごとに好きなコースとして名前を挙げていた舞台。7回目の出場で“片思い”を実らせ「このジャケットを羽織ってみたくて、ここまで来ました」と愛おしそうに見つめた。

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2打差3位からの逆転劇。2連続バーディ発進の後、セカンドをグリーン奥にこぼした3番でボギーをたたいた。「経験が浅かったときは、ひとつのボギーであたふたしちゃう自分がいた。尾を引いて、視野が狭くなって、後のホールを難しく感じる」という悪循環とは、もはや無縁。最難関ホールのボギーは仕方ないと割り切った結果、スコアを落としたのは、ここだけとなった。中盤から雨が降ってグリーンが軟らかくなると、「(ボールが止まって)デッドに突っ込みやすくなった」。むしろ攻勢を強め、8番以降に6バーディ。当地では自己最少「63」でトータル16アンダーまで伸ばしてぶっちぎった。

フェアウェイキープ率6シーズン連続1位(今季もここまで1位)の日本一曲がらない男には、もうひとつの称号がささやかれていた。1973年のツアー制以降では、初優勝も2勝目も「日本オープン」で飾った唯一の選手。「ぶっちゃけ“メジャーしか勝てない男”と言われたこともあった。それはうれしいのか、どうなのか、複雑なところもあった。冗談とは分かっていても、これで終わりたくないなっていう思いもあった」と明かす。

秋の日本オープンを待たずに序盤からエンジンをかけるため、オフの体幹トレーニングから意識改革に取り組んだ。「体の中身から見つめ直した」。試合が始まれば、ラウンド後はタブレット端末で映画を見ながらポテトチップスをつまむのがリラックスタイムだったが、これもやめた。「今シーズンは、そんな闘いもしています」と笑う。

初優勝した18年は美穂夫人と結婚する前のことだった。20年の10月に挙げた2勝目は無観客開催。ようやく愛妻の目の前でカップを掲げることができたから、喜びも大きくなる。「まだまだ試合は残っている。(通算)4勝5勝6勝と優勝を重ねて、賞金王を目指して頑張りたい」。ひとつの殻を破り、夢を広げた。(愛知県東郷町/亀山泰宏)

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