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“くせ者”あらわる 37歳・永松宏之がプロゴルファーになったワケ

◇国内男子◇フジサンケイクラシック 2日目(4日)◇富士桜カントリー倶楽部(山梨)◇7566yd(パー71)

ゴルフをやるために何に全力を注ぐか? 彼の場合は野球だった。シーズン再開戦でニューフェースが首位ターン。37歳の永松宏之が5バーディ、1ボギーの「67」で回り、通算6アンダー。昨年の予選会のランキングで55位の下部ツアー戦士が一気にトップに立った。

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もともとは九州の野球少年。「一、二塁間に“ちょーん”と打つタイプ。くせ者と言われていました」。甲子園出場経験もある大分・鶴崎工業高で捕手として鳴らした人生は、大学3年生(九州産業大)のときに大きな曲がり角に直面した。テレビで観た「全米オープン」で活躍する丸山茂樹の姿に「めちゃくちゃカッコイイ…!」。心を打たれ、ゴルフのプロを志した。

当時は遊び程度で楽しんでいただけで、「振り回すだけで100は打った」。技術的なハードルもさることながら、問題は家族の説得にあった。大学野球部では「ダメ部員」。父の周久さんに相談しても、「大学で(野球の)試合にも出られないやつがゴルフをしても、プロになれるわけがない」と許しを得られなかった。

一念発起し、最終学年の開幕戦で出場することを条件に願い出た。「1年間、ゴルフをしたいがために野球を一生懸命頑張りました」。その結果、約束通り福岡ドーム(現PayPayドーム)でマスクをかぶり、晴れてクラブを真剣に握るように。「監督には『(ボールを)捕ってから投げるのも速い、バッティングもいい、配球もいい。ただ、頑張るのが遅かった』と言われました」と笑う。

プロテスト合格から10年が経った今も下部ツアー暮らしが続き、憧れの丸山にはまだ、あいさつすらしたことがない。以前、福岡の会場で見かけたときも話しかけられなかった。「雲の上の存在で、軽々しく近づけない。神々しいの一言です。好きなアイドルみたい。そこにいてくれればイイ」と真剣だ。

「予選は通ることができた。一円も無駄にしないゴルフをしたい」とキャリアでレギュラーツアー5回目の週末を見据えた。「長くシードにい続けたい。『あいつ、まだ(ツアーに)いるね』と言われるような選手」になるのが目標。先のあるゴルフのキャリア。まだ遅くはない。(山梨県富士河口湖町/桂川洋一)

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