今平周吾は“開幕戦ゼロ円”から2年連続賞金王
2019年 ゴルフ日本シリーズJTカップ
期間:12/05〜12/08 場所:東京よみうりカントリークラブ(東京)
笑顔少なき史上5人目の連続賞金王 今平周吾「詰めが甘い」
◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日(8日)◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)
今平周吾が欲しかったもの。ひとつは手に入り、ひとつは手からこぼれ落ちた。賞金ランキングトップで迎えたシーズン最終戦の最終日。17番(パー5)までに5バーディを奪い、単独首位で迎えた最終18番(パー3)をダブルボギーとして「67」。通算7アンダーの3位で、ツアー史上5人目の2年連続賞金王戴冠を達成した一方で、プレーオフに1打届かず今季3勝目を逃した。
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利き手の左手でボールをセットし、差し出されたドリンクを口に含んだ。東京よみうりカントリークラブの名物18番(パー3)グリーン。強烈な下り、フックラインの1mのパーパットが大勝負の分かれ目だった。「タッチを合わせてもオーバーをする。薄めにラインを読んで強く行った」。覚悟を決めて放った一打は無情にもカップ左をすり抜けた。返しの4mも外してダブルボギー。2位が5回というシーズンの締めくくりは、いっそう無念さが募るものになった。
「最後は狙った結果。それはしょうがない」とパーパットに未練はない。「2打目が、奥に行ってしまったのが敗因」だという。4Iでの第1打を花道に落としたあと、ウェッジでのアプローチが警戒していたピン奥についた。「(2打目の)ライは良かった。ピンの近くで止めようと思ったが、1バウンド目が(想定より)跳ねて、奥に行ってしまった」。今季1勝目の10月「ブリヂストンオープン」は悪天候により36ホールに短縮。2勝目の11月「ダンロップフェニックス」は54ホールだった。日本タイトルがかかった72ホール目に落とし穴があった。
2年以上続けて賞金王に輝いたのは、尾崎将司(1973~74年、88~90年、94~98年)、青木功(78~81年)、中嶋常幸(82~83年、85~86年)、片山晋呉(2004~06年)以来、日本ツアー5人目。27歳67日での複数回賞金王達成は、27歳318日の尾崎将司を抜いて史上最年少記録になった。永久シード選手たちに肩を並べる数字にも、まだ素直に喜べない。「全体的に良いゴルフをしていたと思いますけど、今年も最後に詰めが甘いところがある。安定していることも大事ですけど、勝つことがこれからは大事」と厳しく言った。
賞金1億6804万9312円は、昨季を2892万9980円上回った。トップ10入り回数も14回から16回に増えた。周囲からの「賞金王」という視線の重みも感じている。だからこそ、悔しい。ことし4月に特別招待を受けて出場した海外メジャー「マスターズ」(予選落ち)に、来年は世界ランキング50位以内の資格で出場する。「マスターズの前に何試合か(出場できる大会が)あると思う。“試合勘”を作りながらマスターズに入りたい」。満足感をはるかに上回る惜敗への思いがある。手にした快挙が慢心につながるはずがない。(東京都稲城市/桂川洋一)