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石川遼、夢に近づく大きな一勝

「バックスイングで震えていて、こんなんで入るかと思ったけど入ってくれた」という80cmのウィニングパット。石川遼は、プロとして初めてレギュラーツアー制覇を決めるパットを沈めると、右手を天に向けて突き上げた。スコアカードを提出した直後に18番のグリーンサイドで行われたテレビの優勝インタビュー。石川は涙を堪えることが出来なかった。

「深堀さんに、『これがお前の実力だから、自信を持ちなさい』って言われたのがこれ以上ないくらい嬉しくて。あんな素晴らしい人にそう言って貰って、僕は一番幸せだなと思いました」。

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男子ツアーの人気を背負う石川は、毎日多くのギャラリーを引き連れてラウンドする。調子の良い時も、悪い時も、17歳が背負うものは想像以上に大きいはずだ。「予選ラウンドから沢山の人に応援して貰って、そんなプロは少ないと思うし、その中にこんなにゴルフが下手な自分がいていいのかなと思った」という石川。「みんなが期待するほど上手くないですって言いたくなったけど、応援してくれるし頑張ろう」と、プレッシャーという言葉は否定したが、その期待の重さを信念で跳ね除けた。

2打のリードで迎えた最終18番パー5。石川はティショットを左斜面のラフに入れてしまう。池を挟んだグリーンエッジまでは残り170ヤード。「7Iで打てるのに左に刻むか?って、自分に聞いたら、『いや、刻まないでしょう』と即答でした」という石川。「タイガーならどうするかは分からないけど、石川遼は狙って行きました」と、自分のゴルフを貫いた。それには、石川なりの計算もある。左に刻んだとしても、3打目はやはり池の危険はぬぐえない。パーを獲るには、2打でグリーンに乗せるのが一番確率が高いというマネジメントだ。それでも、このショットはわずかに届かず、池に転がり落ちてしまう。3打目のウォーターショットでピンに絡め、大ギャラリーを歓喜させた。

「自信を持つのはコースに出てからでいい。練習している時は自分が一番下手だと思って、その気持ちで練習した分、コースでは自信を持とうと思います。先のことは、マスターズに勝ちたいということだけでいい」。この一勝で浮かれることなく、石川は自身の夢を改めて胸に刻んだ。

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