石川遼 マッチプレーの重圧に「面白くなる」
<堀江x高岡 4>「常にROIを考えないといけないですね」
ネスレ高岡浩三社長x堀江貴文 対談その4(全4回)
ネスレ日本高岡浩三社長と堀江貴文氏の対談は最終回へ。高岡氏が語るのはビジネスの基本原理ですが、ことスポーツになると、どうしてもそれを無視して感情論が入ってきてしまう現実を指摘します。これには、合理的思考の堀江氏も共感するところが多かったようです。
【高岡浩三氏(以下、高岡)】僕が入社した31年前って、ネスレの中で英語が一番下手なのは、実は韓国だったんですよ。その次が日本人。ところが、97年にクライシス(編注:通貨危機とIMFによる資金支援)があって国そのものが破綻しかけた時に、政策が全部変わって、教育も変わって、そこからみんな英語を勉強しだして。
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【堀江貴文氏(以下、堀江)】教育が変わったんですか。それはすごいですよね。日本って教育は変わってないですよね。
【高岡】何にも変わってないですよ。
【堀江】教育なんか、たぶん明治5年(編注:学制公布)から変わってない。
【高岡】その通りです。新興国のモデルにはすごく適した教育で、みんな同じことをまじめに一生懸命やるでしょ。だから、こんな時代になったときには逆にそれがマイナスになる。
【堀江】グローバル化には完全に対応できないですよね。
【高岡】対応できない。人と変わったことができないですから。
【堀江】人と違うことをやるなって言われていますからね。
【高岡】そうそう。僕らは校則で髪の毛のことまで言われた時代だから。
【堀江】僕もそうでした。
【高岡】本当にそういった意味でね、韓国っていうのは、なんだかんだ言われるけれど、見習わなきゃいけないところがかなりあるんじゃないかなと思っているんです。
【堀江】うーん。
【高岡】マーケティングでもね、(韓国の)家電メーカーなんか良い例じゃないですか。スティーブ・ジョブズ氏なんかも、新しい技術的なイノベーションはほとんどなくて、ビジネスモデルだけなんですよ。
【堀江】そう。既存技術の組み合わせですよね。
【高岡】そうです。だからほとんど、日本のメーカーから学んでいるんじゃないかなと思っている。
【堀江】僕もほんとにそう思っていて。僕は携帯電話とパソコンを一緒にして、モバイルデバイスでインターネット常時接続っていうビジョンを持っていたんですよね。ソニーを買収してそれをやろうかなって(笑)
【高岡】そうなんだ(笑)。
【堀江】そうですねー。なんか、もったいなかったですね。あれだけの開発力があって。やっぱりマーケティング不在なんですよね。
【高岡】もう一つね、片山さんと話をしたときにイメージの話をしたんですよ。片山晋呉っていう選手のブランドをどうするのか。いつまでもずっと現役で賞金稼ぎを続けられるわけではないので、どこかで引退とか、その後の生活をどうするのか。その時のためには我々がブランドを作るみたいにね、自分自身のブランドも作っていかないといけない。
【堀江】セルフブランディングですね。
【高岡】そこにもやっぱりマーケティングがいるから、プロ選手もマーケティングを勉強しなきゃいけない。あるいは、彼に付いているマネージャーがちゃんと勉強しなきゃいけない。そういう話をしたのがきっかけで、今回のトーナメントになっているんです。
【堀江】へー。じゃあ、なにか組織を作るんですか?
【高岡】いやいや、そこまではないです。
【堀江】もったいないですよね。今回せっかくやられたのに。
- 堀江貴文
- 1972年福岡県八女市生まれ。東京大学在学中の96年に有限会社オン・ザ・エッヂを設立。エッジ、ライブドアと社名を変え、プロ野球球団やニッポン放送買収で世間の注目を集める。05年には衆議院の総選挙にも立候補したが、翌年に証券取引法違反で逮捕され、11年6月に収監。刑期を終えた現在はSNS株式会社のファウンダー兼従業員として活動を行っている。愛称はホリエモン。
- 高岡浩三 ネスレ日本社長兼CEO
- 1960年大阪府生まれ。1983年神戸大学経営学部卒。同年、ネスレ日本株式会社入社(営業本部東京支店)。各種ブランドマネジャー等を経て、ネスレコンフェクショナリー株式会社マーケティング本部長として「キットカット」受験キャンペーンを成功させる。2005年、ネスレコンフェクショナリー株式会社代表取締役社長に就任、2010年、ネスレ日本株式会社代表取締役副社長飲料事業本部長として新しいネスカフェ・ビジネスモデルを提案・構築。利益率の低い日本の食品業界において、新しいビジネスモデルを追求しながら超高収益企業の土台をつくる。同年11月ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。