ベアトラップの基礎知識
2019年 ザ・ホンダクラシック
期間:02/28〜03/03 場所:PGAナショナル(チャンピオン)(フロリダ州)
池に消えたボールは1310個 帝王のいたずら心が生んだベア・トラップ
◇米国男子◇ザ・ホンダクラシック 事前(26日)◇PGAナショナル (フロリダ州)◇7125yd(パー70)
PGAナショナルのコース終盤・15番~17番の連続3ホールは“ベア・トラップ”と呼ばれる。ティからグリーンにかけて右側に池がある難関だ。
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呼称の由来は、コース改修に関わったジャック・ニクラスの愛称であるゴールデンベア。グリーン左奥にバンカーがあり、昨季ツアーの全ホールを通じて9番目の難度になった15番(パー3/179yd)のティイングエリア付近には熊の銅像が立つ。
横にある石碑には「YOU ARE NOW ENTRYING“THE BEAR TRAP”」 (ベア・トラップに入りました)と記されている。右ドッグレッグの16番(パー4/436yd)は2打目で池やグリーン手前のバンカーを越えれば、複雑な傾斜が3パットを誘う。大会コースになった2007年以降、3パット以上は18ホールで飛びぬけて多い231回を数える。
最難関は17番(パー3/175yd)。昨季ツアーで3番目の難度のスタジアムホールは、横長のグリーン左奥に配置されたバンカーが効果的だ。ここでは、観客の声援とため息が大きく入り混じる。
ツアーによると、12年間で計511人が出場し、78%に当たる397人がこの3ホールで一度は池ポチャを味わった。これまでに計1310個のボールが池に消えたという。内訳は15番で627個、16番で261個、17番で422個となっている。昨年は17番の74個が最多だった。2007年以降の記録では、この3ホールの平均スコアはパーに対して「+0.671」。連続する3ホールとしては、ツアーで3番目の難度になる。
ニクラスは米ゴルフダイジェストの取材に「15番は改修前、簡単なホールだった。池を生かすようにしたのは、ちょっとしたいたずらのつもりだった。でも、モンスターに変貌した」と答えたことがある。さらに「この3ホールの距離は、まったく長くない。攻略するには精度と度胸が必要だ」とも述べている。
コースには、不規則な風が吹く。帝王のスパイスが詰まった3ホール、今年もここが勝負の行方を左右する。(フロリダ州パームビーチガーデンズ/林洋平)