クーチャーら3選手が首位に並ぶ 岩田寛は58位
2016年 ザ・メモリアルトーナメント
期間:06/02〜06/05 場所:ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)
PGAツアーが新スタッツを導入 松山英樹で見てみると?
PGAツアーは1日、選手のパフォーマンスをより詳細に把握するための新スタッツ導入を発表した。
これは、2011年に導入された「ストローク・ゲインド・パッティング」(パットのスコア貢献率)を拡張したもので、2014年に登場した「ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン」(ショットのスコア貢献率)を、さらに以下の3分野に分割した。
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(1)ストローク・ゲインド・オフ・ザ・ティ
・パー4、及びパー5のティショット
(2)ストローク・ゲインド・アプローチ・ザ・グリーン
・パー3のティショット、及びパー4、パー5での2打目
(3)ストローク・ゲインド・アラウンド・ザ・グリーン
・グリーンエッジから30yd以内の全ショット
PGAツアーの公式サイトで紹介された実例を使って、もう少し詳しく説明したい。なお、PGAツアーはショットリンクと呼ばれるシステムを導入して以降、全選手の全ショットの距離と場所(ティ、フェアウェイ、ラフ、バンカー、グリーン、その他)を記録している。
2015年の「ザ・プレーヤーズ選手権」を制したリッキー・ファウラー。最終日の18番(446yd/パー4)で、ティショットを330yd飛ばしてフェアウェイに置き、残り116ydの2打目を16フィート11インチ(約5m)につけて、1パットでバーディとした。
まず、446ydのパー4でのPGAツアーの平均ストロークは4.100。116ydのフェアウェイからホールアウトするまでの平均ストロークは2.825なので「4.100-2.825-1=0.275」で、ファウラーはティショットで0.275ストロークを稼いだことになる。ホールアウトに要する打数を0.275ストローク削ったという意味合いだ=(1)。
116ydのフェアウェイからの平均ストロークは前述の通り2.825で、ファウラーは16フィート11インチにつけた。この距離からの平均ストロークは1.826なので「2.825- 1.826-1=-0.001」で、ファウラーは0.001ストロークをロスしたことになる=(2)。マイナス数値はストロークを失ったという意味だ。
そして、この距離を1パットで沈めたことで、ファウラーは「1.826-0-1=0.826」で0.826ストロークを稼ぎ出した。
ファウラーがこの1ホールで得たストロークは「0.275 + (-0.001) + 0.826 = 1.100」。これは、446ydのパー4の平均ストローク4.100から実際のストロークである3を引いた値ともイコールになる。
さて、これらのデータをもとに松山英樹の昨シーズンと今シーズンの違いを見てみると、今年は「ストローク・ゲインド・アラウンド・ザ・グリーン」が、昨年のプラスからマイナスへと転じ、順位も26位から132位へと大きく落としていることが分かる。
それでも、3項目(オフ・ザ・ティ、アプローチ・ザ・グリーン、アラウンド・ザ・グリーン)の合計である「ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン」はむしろ1.388から1.738へと上昇しており、ティショットとセカンドショットで、グリーン周りのスコア損を補っていることがうかがえる。また「ストローク・ゲインド・パッティング」に大きな変化はないが、90位前後の順位から考えれば、まだ向上の余地が残されていると言えるだろう。
これらのデータ分析が可能となるのは、全18ホールに数人ずつのボランティアスタッフを配置して、第1組から最終組まで、全選手の打球を記録し続ける作業のたまもの。日本ツアーでは、まだお目にかかれないシステムだ。(オハイオ州ダブリン/今岡涼太)
松山英樹のストローク・ゲインド変化
2014-15 | 2015-16 | |
---|---|---|
SG:OFF-THE-TEE | 0.496(14位) | 0.676(7位) |
SG:APPROACH-THE-GREEN | 0.637(9位) | 1.143(3位) |
SG:AROUND-THE-GREEN | 0.254(26位) | -0.08(132位) |
SG:TEE-TO-GREEN | 1.388(7位) | 1.738(5位) |
SG:PUTTING | 0.076(86位) | 0.067(94位) |
SG:TOTAL | 1.464(7位) | 1.806(9位) |
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka