【リオ現地レポート(4)】僅差の世界496位 ブラジル女子プロの“プロ意識”
2016年 リオデジャネイロ五輪
期間:08/11〜08/14 場所:オリンピックゴルフコース(ブラジル・リオデジャネイロ)
【リオ現地レポート(5)・完】残り4カ月で完成度97%? ブラジル流の理解とは
リオデジャネイロの観光名所の1つに“ポン・ヂ・アスーカル”(砂糖パン)と呼ばれる岩山がある。英語名はシュガーローフ。あえて日本語で言うなら「すり鉢山」だろうか。半島の上にそびえた頂上まで行くと、コパカパーナビーチやグアナバラ湾を一望できる絶景スポットだ。
忙中閑あり。今回の取材中、この“ポン・ヂ・アスーカル”(現地の発音だとポンジャスッカと聞こえる…)に立ち寄る機会があった。意気揚々とふもとからロープウェイに乗り込み、到着したのは山の上に開けた台地。ちょっとした展示スペースや売店、ベンチなどが並び、多くの人が記念撮影にいそしんでいた。
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同行した女子学生が勧めてくれた、ブラジル名物だというシャーベット状になったアサイージュースを堪能していて、はたと時計を見た。滞在予定のイパネマのアパート(ふともから車で約20~30分)にチェックインするために、現地19時に大家と待ち合わせをしていたのだが、そのときすでに18時20分。頂上へ行くためには、もう1つロープウェイで登っていく必要があったが、そこまで行くと、どう考えても時間に間に合いそうにない。19時を過ぎたら対応できないと釘をさされていたのだが…。
ここまで来て退散するのも馬鹿らしい。約束の時間には遅れるけど仕方ない――。迷いながらもそう腹をくくると、「ブラジルにはこんな言葉がありますよ」と、その学生が教えてくれた。
「もし雨に降られたら、あなたは濡れなくてはいけない。(Se voce esta na chuva, precisa se molhar. / If you are in the rain, you need to get wet.)」
「今はそんな状況です」という。ポルトガル語を英語に訳して教えてくれたが、意味としては、“一度やり始めたことは、困難にあっても続けなくてはならない”ということだそうだ。途中で放り出すなんて、きっと格好悪いことなのだろう。
昨年までは、オリンピックゴルフコース建設が遅れているというニュースを耳にする機会も多かったが、今回の事前視察でみたコースはほぼ完璧な状態に仕上がっていた。ブラジルゴルフ連盟のニコ・バルセロス氏の言葉を借りれば、「来週にも試合ができる」という完成度。その言葉に大きな誇張はない、とうなずける。
バッハ地区にあるオリンピックパーク周辺にはフェンスが張られ、立ち入ることはできなかったが、現地報道によると「97%」の完成度という。歩道などはまだ整備中だったので「97%」というのは少し大げさな気もするが、彼らの感覚からすればほぼ完成というレベルなのだろう。
オリンピックゴルフコースでは、グーグルアースの制作スタッフに出会った。ブラジル国内に2台あるという特別仕様のカメラを背負い、新しくできた施設や、このゴルフ場のような場所をとにかく歩き回って映像を収集している。2人1組で交代しながらの作業とはいえ、炎天下では汗だくの重労働だ。
コース開発に携わったECPというリオデジャネイロを拠点とする会社は、スポーツ施設や工場、港湾、公園などの開発を、環境保護の観点から支援する。同社のダニエル・コルティニャル氏は、オリンピックゴルフコースには、カピバラやカイマン(ワニの一種)、蛇や野鳥など多くの野生動物が今も生息していて、とても環境的に優れていると胸を張った。
会場を巡る新交通BRTや地下鉄のトンネルなど、円滑な大会運営に欠かせない周辺インフラには、いまだに工事中の箇所が目立った事実はある。だが、多少の雨に降られても、簡単に投げ出すようなことはしないはず。きっと最後はつじつまを合わせてしまうのだろう。現地で多くの人たちに会い、直感的にそう思った。リオのまぶしい空の下だと、人はつい楽観的になるのかもしれないが…。
そうそう、結局、チェックインのためにアパートに着いたのは、約束の時間を30分以上過ぎた頃だった。さて、どうなったのか? 待ち合わせをしていた大家がさらに遅れて到着したために、なにごともなくチェックインできたとさ。ブラジル万歳!(編集部・今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka