石川遼が4位発進 ウッズ12位…<ザ・グリーンブライヤー初日>
2015年 ザ・グリーンブライアークラシック
期間:07/02〜07/05 場所:ザ・グリーンブライアー(オールドホワイトTPC)(ウエストヴァージニア州)
PGAツアー開催地に秘められた国家機密“バンカー”
ザ・グリーンブライヤークラシック(2/2)
戦争が終わり、再び民間の手に戻ったグリーンブライアーに、米国政府がアプローチしてきたのは1950年代のことだった。世界に君臨する超大国となったアメリカ合衆国はもう一つの超大国・ソビエト連邦と「冷戦」と呼ばれる熾烈な覇権争いを繰り広げていた。もし、米国本土が核ミサイルで攻撃されることになったらどうするか? ということは、今よりずっと現実的な課題だった。米政府は、首都からのアクセスも良いこの閑静な避暑地に米国上下両院議員たちの核シェルター&緊急避難場所という役割を担わせることを決めた。
国はホテルの拡張工事を装って、その巨大な建物の地下に敷地面積約10455㎡(東京ドームのグラウンド部分程度)の核シェルター、通称“バンカー”を建造した。自家発電設備も備え、緊急時には1100人を約40日間、安全に収容できる。普段、その内部はコンベンション施設としてカモフラージュされ、重さ10トンもある鉄製の扉は、廊下の壁の裏に隠された。
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平和な顔を装いながら、30年以上の長きにわたって、この施設は秘密裏に維持・管理され、冷戦終結後の1992年にワシントンポスト紙がスクープとしてすっぱ抜くまで、この事実はごく一部の人間だけが知る国家機密だった。
時を経て、秘密が漏れてしまった現在、“バンカー・ツアー”は訪れた観光客の人気アトラクションとなっていた。「ザ・グリーンブライアークラシック」の期間中には、石川遼ら多くの選手もこのツアーに参加。記者も驚くほど分厚い扉をくぐり、参加した。
総面積としては狭くないのだろうが、窓がなく、柱の数が多く、居住スペースは天井も低いため、独特の圧迫感を感じた。食堂の床は傾斜しており、「人が溜まらないようにあえて平らに作っていない」という説明があった。
この施設の利用に最も迫ったのは、1962年のキューバ危機と言われている。自分が生まれる前の出来事で、当時をつぶさに想像することは難しいが、この地下空間にある“バンカー”の重厚さは、確かに存在した危機の現実味を訪問者すべてに教えてくれていた。
米国とキューバの国交が54年ぶりに回復した2015年夏の経験だった。(編集部・今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka