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宮里美香が感じる“We”な戦い 2016年開幕戦へ

世界ランク1位に上り詰めたジョーダン・スピースは、自身のゴルフを語るとき、頻繁に“我々(We)”という言葉を口にする。個人競技のゴルフだが、キャディがいて、コーチがいて、トレーナー、マネージャーらがいて、選手がいる。自分がコース上で球を打つに至る過程で、チームのみんながベストパフォーマンスを出せるように尽力していることを、強く認識しているからだ。

昨年、米国を主戦場とする日本人の女子選手中、最も良い成績を残した宮里美香も同じだ。賞金ランキング28位で、最高位は「NW アーカンソー選手権」での2位。3年ぶりの米ツアー優勝にあとわずかに迫った。2013年後半から加藤大幸キャディとタッグを組み、昨年からは工藤健正トレーナーが加わった。宮里には他にもコーチとメンタルトレーナーがいるが、2015年は出場全試合をこの3人で旅して回った。

米国女子ツアーで専属トレーナーが帯同する選手は珍しい。それに加えて、純日本人というチーム構成が宮里のコースでの戦いを後押しする。

「初めて会ったときの第一印象は『伸ばせる部分がいっぱいある』でした」と工藤トレーナーは振り返る。「ゴルフは自然の中でやるスポーツ。『今まで走ったことがない』というから不安もあったけど、最初は走りながら周りの空気を感じるだけでもいい。気持ち良く走る、ということから始めました」。昨シーズンはまず、食事や移動など過酷な米ツアーを戦い抜くために「普通の状態を続けられる体作り」を目指したという。

「体が動かなかったり、筋肉が張ったりしている状態でもゴルフができるように」。各部位の筋肉の動きをよりコントロールできるようにする、という目的で組まれたトレーニングには、野球やテニスの動きも取り入れた。「ゴルフセンスはメチャクチャあるけど、小さい頃からそればかりをやってきた。他のスポーツの動きを覚えることで『ボールを投げるように』とか、動作を説明しやすくなりました」。1年間を通じたトレーニングで「出来ることが多くなってきた」と、工藤氏は手応えを口にした。

整った土台の上に、より実戦的な視点を加藤キャディが加えていく。「日本アマチュア選手権」や「日本オープン」の出場経験もある加藤氏は、キャディとしてのコース上でのマネジメントはもちろんのこと、工藤氏とともに今の宮里に必要な体の特性についても考えている。

「たとえば、アイアンで打つ球を高くしたいという技術的な目標がある。その場合、インパクト前後で右足を上げるのが早くなると、どうしても球は低くなるから、ベタ足を長く出来るにはどういうトレーニングをすればいいかと工藤さんと話します。選手が練習をしているときとか、インタビューを受けているときに、ほぼ毎日、自然にそういうことを話していますね」。加藤氏がコース上で感じた課題をフィードバックし、それを工藤氏が日々のトレーニングに落とし込むのだ。

宮里は言う。「球のスピードが全く違うし、重たい球が出るようになった。なんなんだろうって、最初は違和感があった。それこそ、フェードからドローが打てるようになったとか、そういうのが急に出てきて自分じゃないみたいだった。スイングを変えた訳ではない。体の変化でここまで変わってくるんだなっていうのを実感できた。体の使い方がちゃんと分かるようになったのが大きいと思う」。本人にとっては嬉しい驚きだったという。

2016年、工藤氏は昨年構築したフラットさ(普通であること)に、力強さを加えたいと考えている。年々、長距離化するコースに対応するための戦略だ。加藤氏も口をそろえる。「飛距離を伸ばすのは簡単じゃない。それでも、たとえば18ホール中で400ヤードを超えるミドルが2、3ホールあるとしたら、そのホールだけはしっかり振っていこうよ!というようなマネジメントに変えていきたい」。

選手とキャディとトレーナーの三位一体が織りなす強さ。「そういう意味では“一緒に戦っている感”が出ているんじゃないかなと思います」と宮里は笑顔を見せた。今年も体制に変更はない。チーム美香の新シーズンが、今週バハマで幕を開ける。(フロリダ州オーランド/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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