全英リコー女子オープン2010特集
2010年 全英リコー女子オープン
期間:07/29〜08/01 場所:ロイヤルバークデイルGC(イングランド)
宮里藍、メジャー初勝利への道
2010/08/02 05:57
今季の米メジャー最終戦「全英リコー女子オープン」の最終日を「67」という好スコアで回り、通算2アンダーの9位タイに浮上して4日間の戦いを終えた宮里藍。気持ちの良い上がりに水を差すようで気が引けたが、この日聞かなくてはと思っていたことがある。
最新のロレックスランキングを見てみると、上位5人(申智愛、宮里、クリスティ・カー、ペターソン、ヤニ・ツェン)のうち、メジャー優勝が無いのは宮里一人。トップ10に広げても、それは僅かに3人だけ。その事実を宮里本人はどう受け止めているのか?
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「人は人だし、(メジャーを)どのタイミングで勝てるかは分からない。毎週学んで経験してプラスにしていくことが第一歩。チャンスが来るまで我慢するしかない」。
常に気持ちの波を作らずに目の前の1打に集中することを目標とする宮里。一方でこの日優勝したヤニは、過去4勝のうち実にメジャーで3勝を挙げている。メジャーに照準を合わせることも、メジャーを勝つには必要ではないだろうか?
「(メジャーに)合わせる人もいるし、合わせていない人も居る。一度に一人しか勝てないし、みんなが合わせても誰が勝てるかは分からない。今はロレックスポイントが近いせいもあって上位選手は集中力が高く良い結果が出せているけど、今は自分の期待をコントロールすることが良い経験になっています」。
話が少し核心に近づいてきたようだ。大会初日、珍しくイライラした感情を表して「76」と出遅れた宮里は、気持ちが固まっていなかったことをその理由に挙げた。
「ここ2か月くらいでロレックスランキングとかの急速な変化が起こっている。それにきちんとキャッチアップして、フォーカスして、クリアしていかないといけない。私は一つに集中する方が、集中力をキープできるタイプ。どう整理して絞っていけるのか」。
つまり、“この試合に勝ちたい”という気持ちを抑えきれずに感情的になり、初日はスコアを落としてしまった。2日目以降は再び目の前の1打に集中する自分を取り戻せたということのようだ。宮里の言葉がそれを補足する。
「(メジャーについては)期待もそうだし、自信もあります。メジャーは夢から目標になったし、準備は出来ているけど、期待や欲が出過ぎると難しい」。
試合終了後、宮里の父・優氏は、「初日の気持ちの作り方が出来ていない。メジャーに対して気後れしているし、意識し過ぎ。もっと自分にもチャンスがあると思わないといけない。感情を外に出せじゃなく、腹の底にぐっとしまったものを作っていくことが大事でしょう」と指摘した。
二人の言葉を聞いて文章にまとめていると、その状況が少しずつ腑に落ちてきた。もちろんメジャーには勝ちたい。でもその気持ちが強くて、今週はまだうまくコントロールするには至っていなかった。
優氏が今年の大会を総括してくれた。「全英の 戦い終えて 空は晴れ」短時間で創作をお願いしたため、“今度はちゃんと考えておく!”と自信作という訳には行かなかったようだが、それでもくっきりと情景が目に浮かぶ。4日間の戦いを終え、灰色の雲も去り、宮里の目指すものも、その姿をより鮮明にしたようだ。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka