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東京五輪で“日本”を演出 霞ヶ関CCと「松」の深い関係

◇崩れたバランスを取り戻せるか?

日本ではバブル期の1980年代後半から90年代前半をピークにゴルフ場建設ラッシュが沸き起こり、同時に景観、ハザード、日除け、境界、打球事故防止といった様々な目的で木が植えられた。それから数十年が経過した今も、木々は日々成長を続けている。

「あくまでゴルフ場は芝がメインなので、メンテナンスの比重は少ししか掛けられない。そういう中でバランスが崩れてしまったのが現状だと思います」と東海林さんは指摘する。

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かつて田んぼだったゴルフ場周辺は、宅地化や幹線道路化が進んでいる。巨木となった樹木たちは、コース内では日照や通風不足を引き起こし、台風による倒木被害でコース外まで被害を及ぼすことも増えている。

霞ヶ関CCの広報委員長、越正夫さんは「3年くらい前からコース管理上、樹木とのバランスが必要という新しい考え方が出てきて、積極的に会員向けの広報をやるようにしています」とここ数年の変化をあげる。

「もともと木を切りたいというニーズはコース管理側から出てきます。それに対して、“なぜそれが必要なのか?”というコンセンサス作りが大切です。それをやってコースの芝が良くなったとメンバーが実感していますので、“必要なことはやっていこう”というのは、大多数の賛成が得られていると思います」

霞ヶ関CCでは1本1本の松がナンバリングされて資産台帳で管理され、伐採には理事会の承認が必要となる。メンバーの中で“木は財産”という認識は根強いが、それでも総合的に判断してコースにとって必要な伐採ならば、受け入れる土壌もある。

越さんは「もともと樹木の景観をすごく大事にしているコースでしたので、より良くするのに反対する人はいないと思います。そういう矜持といいますか、霞ヶ関としてそういうところもきっちりやっていこうという意識はもっています」と胸を張った。

それでも問題はある。日本ではまだ、“ゴルフ場の樹木管理”というフィールドは確立されておらず、人材もいなければ集約された知識もない。その一方で、アメリカやイギリス、オーストラリアなどには、樹木医やアーバンフォレスター(※都市環境での樹木管理を専門に行うスタッフ)を抱えた企業が、ゴルフ場と共に長期的なマネジメント戦略を策定し、実作業まで手掛けている。

「アメリカはジオラマ的な発想で樹木をゴルフ場の構成物として見ているところがあって、たとえばグリーン脇にある木を30年毎に植え替えるようなことやっています。そういう文化があり、需要がある分、そんな業者もあるのかなって思います」と東海林さんは羨ましがる。

だが、盆栽を慈しみ、植物を大切にしてきた我々の文化を考えれば、そんな企業が日本に誕生するのもそう遠くない未来なのかもしれない。(編集部・今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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