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加瀬秀樹、“解説”で切り開いた新境地

シニアツアーには、トーナメントプレーヤーと別の「顔」を持った選手が少なくない。プロを指導するコーチ業だったり、アマチュアを教えるレッスンプロだったり、はたまたゴルフ場の支配人だったり…。

16日(金)に開幕した国内シニア「ファンケルクラシック」初日、首位と3打差の6位タイと好スタートを切った加瀬秀樹の場合は、バリトンボイスですっかりおなじみになってきたテレビ解説者だ。先週は、男子メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」で渡米していた。

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「ちょっと見て欲しいと言われたからチェックしただけ」と、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの松山英樹に現地で請われ、アドレスの取り方をアドバイス。「(僕のアドバイスが)はまってくれてホッとした。それで崩れてたら責任感じちゃうよ」と、解説者としての観察眼から助言を与えた一幕を照れ笑いで振り返った。

かなり乱暴な言い方にはなるが、対人競技でないゴルフは1人で完結し得るスポーツといえるだろう。それゆえに孤独だし、自分のプレーに集中することも重要だ。レギュラーツアー4勝を誇る加瀬も、もともとは同伴競技者や人のプレーをあまり見ることがないプレースタイルだったという。

しかし、ここ数年は、テレビ解説を行うようになり、必然的に自分以外の選手のプレーに目を向ける時間が増えてきた。

「全米プロ-の時も、松山がトム・ワトソンと練習ラウンドをしててさぁ。彼のプレーをじっくり見ながら、松山と『なんでこんなに簡単にゴルフすんのかなぁ』って語りながら歩いてきたんだよ」。加瀬はその状況を楽しめるようにすらなってきた。

「(ひとがやっていることを)取り入れようと思うこともある。でもやってみてダメならすぐやめる(笑)」とやり方はあくまで加瀬流だが、自身のプレーにも好影響が出始めている。技術ばかりじゃない。この日、ギャラリーに感じさせた、肩の力を抜き、プレーを楽しむ、シニアならではの懐深いプレーぶりは、まさに多くのプレーを見て加瀬が身につけてきた新たな魅力だろう。

「視野が広がったって言うのかな」。そう話す加瀬は、テレビ解説のおかげで「練習時間が確保できなかった」とぼやきつつも、今日の好スコアに満足気だった。(静岡県裾野市/糸井順子)

糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

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