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姉弟はニコイチ 河本結が2人で果たした「最高の親孝行」

◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 最終日(31日)◇UMKCC(宮崎県)◇6525yd(パー72)

河本結(20)のキャディを務めた弟・力(りき)さん(19)は最終日の朝、ドライビングレンジに向かう下り坂で観客とぶつかった。キャディバッグをかばうように転び、両手のひらの皮がめくれ流血した。クラブにも血が飛んだという。

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医務室で応急処置中の弟に、河本は電話で言った。「キャディ、やってよ」。2年前の今大会でコンビを組んで予選落ちして以降、2人でリベンジすると決めていた。アマチュアとして4月の男子ツアー国内初戦「東建ホームメイトカップ」に推薦出場が決まっている弟は、すかさず返した。「やるよ。余裕だよ」――。

父・由一さんは愛媛県松山市で公務員、母・美由紀さんは保険事務所でアルバイトをし、姉弟にゴルフをさせた。2人がプロを目指すと決め、両親は「大好きな」ゴルフをやめた。河本が日本体育大に進学すると、美由紀さんは横浜市の大学近くにアパートを借りた。サポートにすべてを捧げた。

「うちは決して裕福な家じゃない。それでもわたしと力にゴルフをやらせてくれた。恩返し、しなきゃいけない。いつか両親にゴルフをさせるのが夢」。河本は責任を背負いこんだ。

「どん底」「泥水を飲んだ」と表現した時期がある。翌年の出場権をかけた2017年の予選会(QT)。1打足りず、最終QT進出を逃した。当時はゴルフ人生が閉ざされたように感じ、くさりかけたという。主戦場にせざるを得ない下部ツアーの賞金総額はレギュラーツアーの10分の1程度。繰り上がり出場に望みをかけ、最終QTの会場に向かったが、当然出番はなかった。帰りの車中、母の涙を見た。

「こんなに悔しい気持ちになったことはなかった」

その下部ツアーで昨季4勝を挙げた。出場12試合で1821万3000円を獲得し、賞金ランキング1位になった。レギュラーツアーに昇格し、春先4試合目で優勝を遂げた。賞金は1440万円。「父は陰ながら、母はずっと一緒に支えてくれた。支えてくれた人に会ったときはウルっときた」と涙を流した。

母の本音はどうか。「昔から(河本と力は)ニコイチ。よくやったと思いますよ」と照れながら、2人を労った。だが、優勝を待たずして心はすでに満たされているようにも映った。単独首位に立った大会2日目、姉弟で戦う姿を「これだけで、こんな最高の親孝行ないよね」とロープの外から優しく見つめていた。(宮崎県宮崎市/林洋平)

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