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大山志保のガッツポーズ “定番”に秘められた流儀

◇国内女子◇ヨネックスレディスゴルフトーナメント 最終日(3日)◇ヨネックスCC(新潟)◇6422yd(パー72)

カメラマンが勝負どころのパットを決める選手のガッツポーズを狙う場合、ボールを打ち出す前方に陣取ってレンズを向けるのが一般的だ。しかし、大山志保の場合は勝手が異なる。パットが決まるたびに別の方向を向いてガッツポーズを繰り出し、ときにはクルリと後ろを向いて右こぶしを握りしめる。方向が読めず、苦労が絶えないカメラマンも少なくないだろう。

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大山に理由を聞いたところ、掛け声を最初に送ってくれたギャラリーの方向に自然と体が「向いちゃう」のだという。“入れ!”でも“ナイスバーディ!”でも、耳に入れば声の方向に反応。大山へのアクションに対するギャラリーの期待も自然と高まり、周囲の熱気はガッツポーズを出すたびに上昇していった。

ときには、意図的に顔を向けることもある。2日目の最終18番で1mのバーディパットを打つ前、近くの観客席から「ガッツポーズを見たいなあ」という会話が聞こえた。バーディフィニッシュとした大山は、「やったよー、オジサン!」という気持ちで、そのギャラリーがいた方向にガッツポーズ。大山の右こぶしには、応援するファンへの思いが込められていた。

上田桃子は言う。「大山さんは、ギャラリーとの一体感を作るのがすごくうまい。ファンに“何かをやってくれる”と思わせる。ギャラリーを含めて、ガッツポーズで人の気持ちを突き動かせることは、すごいと思う」と感心しきりだ。

4打リードでグリーンに上がった最終18番では、総立ちのギャラリーが大山を迎える光景が広がっていた。度重なる故障を乗り越えての復活劇のエンディング。大山とファンの一体感は頂点に達した。(新潟県長岡市/塚田達也)

塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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