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ヤードとメートルどっちを使う?日本で戦う韓国選手の知られざる苦労

「先輩に圧倒されてしまった」と悔しがったのは、前週の「ニチレイレディス」最終日。優勝した申ジエ(韓国)、アマチュアの勝みなみとともに最終組で回ったペ・ヒギョン(韓国)は、「77」と崩れて15位に沈んだ。「集中できていなかった」と、ツアー初優勝のチャンスを逃したが、今週の「アース・モンダミンカップ」初日に4アンダー「68」を叩き出し、首位と2打差の4位タイと好発進を決めた。

雨が強く降ったり、弱まったり、さらに遠くで雷鳴が轟いたり…。悪コンディションとなった午前の1組目で出ると、前半だけで5バーディ(1ボギー)をもぎ取った。冴えたのは、49度から46度へとロフトを立てたウェッジだった。「残り90メートルから4つバーディを獲ることができた」と喜んだ。90ヤードではなく90メートル。そう、彼女はメートル法を駆使して戦っている。

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陸上や水泳、サッカーといったスポーツでは世界的にメートル法が採用されているが、ゴルフでは、英国、米国、日本でヤード表記が主流。一方、韓国、オーストラリア、英国を除く欧州などではメートル表記(もしくはヤード併記)を使っている。ペもメートルで育った1人だ。

大変なのは、その準備だ。日本で入手できるヤーデージブックは、当然ながらヤード表記。それを1つずつメートルへと変換していく。1ヤードは0.9144メートル。ペのキャディを務める木村翔氏は「全部をメートルに直すだけで、3時間は掛かる」という。さらに、平均的な歩幅から取られたヤードとは違い、歩測をする際も「少し大股で歩く」という配慮がいる。ペは「ヤードに変えようと思ってはいるけれど、やっぱり慣れなくて難しい…」と肩をすぼめた。

ちなみに、現在賞金ランキングトップに立つ申も、メートルを使っている選手の1人。「イメージが出やすいから」とヤードに変えるつもりはないという。

一方で、イ・ボミ(韓国)は2013年から本格的にタッグを組んだ清水重憲キャディに「世界標準はヤードだから」と促され、メートルからヤードへと切り替えた。当初はヤードとメートルを併記していたというが、「結構、すぐに大丈夫でした」と今ではヤード表記のみ。逆に「今年、韓国の試合に出ようと思っているけど、向こうはメートルだけだからどうしよう?まあ、キャディの仕事ですね」と、おどけて笑った。

1ヤード刻みの打ち分けと、1メートル刻みの打ち分けでは、基本単位が約8.5センチ短い分、ヤードを使っている方が精度も高くなるように思うのだが、賞金ランキングの一番上にいる申の活躍を考えれば、この仮説はあまり説得力を持たないようだ。(千葉県袖ケ浦市/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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2016年 アース・モンダミンカップ



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