イ・ボミ「私と、家族が誇らしい」 セカンドライフでやりたいこと
イ・ボミから次世代への伝言「これが、幸せになれた理由」
2023年シーズンが始まる前、イ・ボミ(韓国)は今季限りで日本での競技生活にピリオドを打つと決断した。韓国ツアーで賞金女王に輝き、2011年から日本での転戦生活を始めて13季目。所属先の延田グループが大会スポンサーを務める10月「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」での幕引きを選んだ。
大会では「ありがとう」の文字が入ったタオルやTシャツが販売され、会場はボミのイメージカラーであるピンク色に染まった。2日目の競技終了後に行われたクラブハウスでのサプライズセレモニーには50人以上の選手や関係者が参加し、最終日には全国のファンが集結してエールイベントを実施。言葉を交わし、互いに涙を流す光景がひろがった。
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それから韓国に一時帰国した際、「日本のニュースがたくさん出ていて、『セレモニーすごかったね』ってすごく言われた」という。「『どうやったら日本であれだけ愛されるの?』っていう質問が多かった。自分でも本当に『なんでかな』ってなるけど、感謝でいっぱいです」
日本での通算勝利数は21勝。2015年、16年には2年連続で賞金女王、男女を通じて初めて年間獲得賞金2億円超えを達成した。15年の「4試合連続2位」という数字はいまだに破られていない。色あせない記憶と記録。日本ゴルフ界への貢献を受け、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)から特別功労賞、日本ゴルフトーナメント振興協会(GTPA)から特別賞が贈られた。
ひたむきに走ってきた第一線の終着地点で、次世代のゴルファーに伝えたいのは「ゴルフをすることで本当にたくさんの人に出会えた。これが一番、幸せになれた理由。『いいエネルギー、いい影響を与える人間になれたらな』と思いながらやってほしい」という思い。
競技人生を思い返せば良いことばかりではなかった。全盛期は調子の善し悪しに関係なく注目を浴び、精神的に追い込まれた日もあった。絶頂とどん底を知る“スマイルキャンディ”は「『苦しんで』って言いたい」とも話す。「みんな一緒に苦しまないと、私の苦労、分からないでしょ(笑)」とおどけるのも、困難なくして栄冠がないことを知っているから。そう裏表なく答える姿もまた、人の心をつかむのかもしれない。(編集部・石井操)
石井操(いしいみさお) プロフィール
1994年東京都生まれで、三姉妹の末っ子。2018年に大学を卒業し、GDOに入社した。大学でゴルフを本格的に始め、人さまに迷惑をかけないレベル。ただ、ボールではなくティを打つなどセンスは皆無。お酒は好きだが、飲み始めると食が進まないという不器用さがある。