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コーチが語る22歳・稲見萌寧の等身大「本当はものすごく弱い子」

男女ともに最終戦までもつれ込んだ国内ツアーの賞金レース。女子は稲見萌寧に軍配が上がり、史上2番目の若さで賞金女王を戴冠した。コロナ禍で2020、21年が統合された異例のシーズンは全52試合が行われ、稲見は9勝を挙げた。大躍進を支えたのが、最終戦でもキャディを務めた奥嶋誠昭コーチだ。

「すごいっすよね。こんなに勝つとは思わなかった」と教え子の活躍に率直な感想を口にした。賞金女王確定を知ると、ストレートに稲見に「おめでとう」と告げ、目に溜まった涙をぬぐった。

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2018年12月から教え始め、日本ゴルフ界で初のメダリストになった8月「東京五輪」でも横でコーチ兼キャディとして支えた。奥嶋氏の指導方針は、「何が起こっても変えない。調子悪かろうが、言うことも、態度も一緒でなぐさめもしない」ことだという。

「調子が悪くなると口をきかなくなって、そういうのが腹立つけど…。反論してきたら潰しにいきます。でもそういうのをやらないとダメ」。最終戦の週末2日間はライン読みなどお互いの意見が合うまで相談して回った。

「圧倒的に強い選手になりたい」。稲見は勝利を積み重ねて有言実行。その凄さは、ほかのプロたちに一目置かれる存在となったが、奥嶋氏は「強いのかなあ。すごく弱いと思いますけどね。誰か周りにいるから保っていられる。本当はものすごく弱い子。ギリギリ耐えて、踏みとどまれる。ある一定のところまでは落ちるけど」と22歳の等身大を明かした。

「(コーチを)来年もやるかも分からないですけど」と前置きしたうえで、稲見がツアー終盤で腰痛を抱えながら戦ったことを気にかけ、「同じやり方は出来ないと思うので考え直さないといけない」という。東京五輪で銀メダルを獲ってから「いい意味で何も変わってないけど、僕に逆らう回数が増えた」と笑わせつつ、「調子に乗らず、やることをやっていければいい選手になる」と太鼓判を押した。

稲見が目指すのは、不動裕理らが手にした永久シード獲得となる「ツアー30勝」。一時代を築くにはまだスタート地点に立ったばかり。誰にも負けない練習量で新たなサクセスストーリーを描いていく。(編集部・石井操)

石井操(いしいみさお) プロフィール

1994年東京都生まれで、三姉妹の末っ子。2018年に大学を卒業し、GDOに入社した。大学でゴルフを本格的に始め、人さまに迷惑をかけないレベル。ただ、ボールではなくティを打つなどセンスは皆無。お酒は好きだが、飲み始めると食が進まないという不器用さがある。

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