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「ああだこうだと言ってた人を見返したい」 渋野日向子の反骨と焦燥

◇国内女子◇スタンレーレディスゴルフトーナメント 最終日(10日)◇東名CC(静岡)◇6592yd(パー72)

「ん~、嫌でも耳に入ってきてしまうので。それでも新しいスイングで勝ったときに『ああだこうだ』と言っていた人を見返したいと…。そういう気持ちを片隅に置きながら、やっていました」

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渋野日向子の本音が思わず漏れた。米ツアーを主戦場にするべく取り組んでいるスイング改造。ファンを含めて、批判的な声が届いていた。

「手をインに引き過ぎると、振り抜きが固くなってしまうので気をつけています。あとは向き。今までは遠くをターゲットにしていましたが、今週から1mくらい先の芝だったりに対して向くっていう、みんなやっていることなのですが、それをやってショットがマシになった」

ハウスキャディを起用した今週は、ホールアウト後に一人で練習場に足を運び、納得するまで弾道測定器を用いてショットの確認に取り組んだ。

日が暮れると、自分でキャディバッグを担いで帰りの車まで運んだ。結果で証明する以外に方法はない、そんな気持ちで汗を流してきた。

今大会のパーオン率は76%(41/54)。木村彩子ペ・ソンウ(韓国)、アマチュア佐藤心結とのしびれるプレーオフ(18番パー5の繰り返し)でも連続バーディを奪い、ショットは安定感を見せた。

「置いていかれている」

「女子プロゴルフは世代交代がめちゃくちゃ早い。2年前にレギュラーツアーに出始めたのに、と思ってしまうくらい自分が置いていかれている感があります。思いたくないけど、思ってしまう部分がありました」

最後まで競り合ったアマ佐藤はもちろん、賞金ランキングトップ5に年齢が上の選手は一人もいない。シーズン8勝の稲見萌寧(1999年生まれ)、4勝の西村優菜(2000年生まれ)ら、1998年生まれで22歳の渋野から見ても“若手”が台頭しているだけに危機感は尽きない。

全てはもう一度

2019年の海外メジャー「全英女子オープン」を制し、日本の女子ゴルフ界を引っ張る存在としての期待を背負ってきた。しかし、コロナ禍に見舞われた20年は12月「全米女子オープン」で優勝争いを演じて4位に入ったものの、優勝には手が届かなかった。

「飛距離の差を今でも感じているし、米ツアーに出ている選手は小さい頃から難しい芝でやっているので、簡単に打ちますし、そういうのを見て今のままじゃダメだと。『自分が変わらないと』と思うきっかけになりました」

欧米と日本を往復しながらスイング改造に取り組み、目の前の課題をひとつずつ解決してきた。全てはもう一度、海外メジャーを制するためだ。

「今やっていることをやっていけば、2年前の自分よりも強くなれるのではないかなという感じ。2年前の良い部分も受け入れて、それを含めて改善していかなきゃいけない。今やっていることを積み重ねていくように」

686日ぶりにつかんだ優勝の手応えはとてつもなく大きい。(静岡県裾野市/玉木充)

玉木充(たまきみつる) プロフィール

1980年大阪生まれ。スポーツ紙で野球、サッカー、大相撲、ボクシングなどを取材し、2017年GDO入社。主に国内女子ツアーを担当。得意クラブはパター。コースで動物を見つけるのが楽しみ。

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