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谷口徹も釘付けに 藤田寛之の激闘と若手の台頭に56歳は何を思う

◇国内メジャー第2戦◇日本プロゴルフ選手権大会 2日目(5日)◇富士カントリー可児C志野C(岐阜)◇7164yd(パー71)

「全米シニアオープン」での藤田寛之の雄姿を、かつてともに“中年の星”としてツアーを引っ張った谷口徹も目に焼き付けていた。大会の3日目以降、日本時間の深夜に全米ゴルフ協会(USGA)が展開したスコアのネット情報をチェック。悪天候による順延で5日目に持ち越した最終ラウンドも、毎ホール動画でプレーを追いかけたという。「それが、プレーオフになってからは映像がなくて『最悪!』と思って…」

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シニアメジャー制覇まであと一歩、の闘いは56歳にも響いた。「惜しかったですよね。ちょっと寝不足になった。(勝負が決まった18番の風が)アゲンストじゃなければ…」。互いに50代半ばになってもシニアだけでなく、レギュラーツアーにも顔を出すベテラン。「(藤田は)ちょっと前はすごく病んでいたんですけどね。(日本の)シニアツアーでも良いスコアが出ていなくて。どうしたんだと思っていたくらい。それが(メジャーで)全盛期の良い時のようなゴルフをしていた。そりゃあ(同組の)スティーブ・ストリッカーだって『勝てない』と思いますよ」と奮闘ぶりをたたえた。

日本ツアー通算20勝、2018年の「日本プロ」を50歳で制した谷口は「僕は昔(レギュラー時代)に多く行ったのもあってか、シニアでメジャーに出たいというのはあまりね」と言う。自らに置き換えて、「刺激を…」と易々と口にできるほど簡単でないことも知っている。ただし、海の向こうに自嘲気味な態度のようで、同世代の活躍には敏感な一面もある。

「(藤田を破った)リチャード・ブランドはすごい選手、飛ばし屋だと(香妻)陣一朗が言っていた。そういえば48歳で欧州で勝って、“遅咲き”だと書いてあったと思って」「(ベルンハルト)ランガーもすごい。去年のシニアオープンに勝った。今週は欧州ツアーが最後なんですよね。初日はボギーが1個しかなかった。今年(2月に)アキレス腱を切ったのに。身体のことを分かっていて、スイングが完成されているのかなあ」。情報量は多い。

今季は日本プロ優勝で得た長期シードの最終年。正直なところを言えば、「40代後半から1年終わったらもうクタクタで、1カ月くらいクラブを握る元気がなくなる」のがここ数年のパターンだ。「今の子たち、めちゃくちゃうまいんですよ。飛ぶからロングゲームがうまい。200ydくらい残ってもショートアイアンみたいに打つ。自分は毎年、厳しくなっている」。待望の若手選手の台頭を頼もしく思う半面、年々もどかしさが募る。

「でも、ちょっとすると、またやってみようかな…って」とも思う。季節が暖かくなる度にやっぱりクラブを握ってしまうから不思議だ。大汗を拭きながら、キャディバッグを抱えてロッカーに引き上げる姿に老け込む様子はない。

キャリアのハイライトのひとつと言える大会で今週、通算1アンダー49位で予選を通過した。ホールアウト後、「さすがです!」と腰を低くして通り過ぎる後輩プロたちに笑って応えた後、「予選を通るだけじゃつまんない。そこを目指して出るわけじゃないしね」とつぶやいた。「もう1回、勝ちたいっていうのがあって」――。奥底に秘めた本音をのぞかせた。(岐阜県可児市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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