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「10年に1度のアクシデント」 名物18番を支えるグリーンキーパーのこだわり

2021/12/05 07:32

◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)

シーズンを締めくくる18番(パー3)はこれまで、数々のドラマを生み出してきた。丸山茂樹が日本ツアー10年ぶりの勝利を挙げて男泣きした2009年、劇的なチップインを入れて初優勝を決めた宮里優作が腰を抜かして歓喜した2013年―。グリーンを取り囲むギャラリー席から沸く歓声、ため息とともに繰り広げられるドラマは今年もいよいよ佳境を迎える。

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東京よみうりCCのグリーンキーパーを務める大橋敬之さんは、開幕2日前の火曜の夜から翌水曜の朝方まで降った大雨に「10年に1回ぐらいのアクシデント」と振り返った。

プロアマ戦を1時間遅らせ、水たまりになった全108カ所のバンカーの復旧、風で散らばった落ち葉の片づけを行った。「月曜、火曜は完ぺきだったけど、水曜日に“おじゃん”になって」。苦労を忘れさせる青空での本戦に「今となってはだけど」と笑った。

この時期ならではの戦いといえば、「霜」によるグリーンの凍結。午前5時、6時、7時に気温を確認し、凍らないように覆っているシートを外すタイミングを決める。「3度と4度の狭間があるんです。朝来て4度だったらすぐにはがしても大丈夫だけど、3度ではがしちゃうとその後に凍っちゃう」。緻密な計算と蓄積してきた経験に基づき、コンディションを整える。

この大会に「照準を合わせて管理している」芝は、最終組も最初の組と同じ状態でプレーできるようスパイクの跡一つつかない工夫がされている。踏まれてもバネのように戻ってくるように刈りこんで、「コシが強く」しっかり縦に立つように仕上げる。18番は「地面の傾斜の通りに芝が生えてくるので、それをなるべく縦に(垂直に)なるように」と刈る方向を意識しながら順目、逆目がないように作り上げていた。

18番の仕上げにプレッシャーは「やっぱりありますね。あそこだけはミスが許されないというか」という。「やっぱり人間だからミスというのは起きるんですよ。削りすぎちゃったり、最悪オイル、燃料漏れとか(のように)。芝も、人と一緒でちょっとでも体調悪くなる予兆を見つけて対処。グリーンは乾く前に水をまく。乾いてからだともう間に合わないので。(悪い)症状が出ないうちに、人間でいう微熱とか、おかしい時に対処して健全な状態をずっと保つようにしています」

そうやって紡がれてきた歴史ある大会も、残り18ホールでまたひとりトロフィーに名を刻む。「きっとすごいことが起きますよ」とドラマチックな展開に期待した。(東京都稲城市/石井操)

石井操(いしいみさお) プロフィール

1994年東京都生まれで、三姉妹の末っ子。2018年に大学を卒業し、GDOに入社した。大学でゴルフを本格的に始め、人さまに迷惑をかけないレベル。ただ、ボールではなくティを打つなどセンスは皆無。お酒は好きだが、飲み始めると食が進まないという不器用さがある。

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