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コロナ禍でプロゴルファーに何ができるか 34歳・男子プロの場合

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 2日目(13日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年の国内男子ツアーは開催試合が当初予定されていた25大会から6大会に減少した。プロゴルファーの多くが本来の職場を失った事実に間違いはないが、彼らの仕事すべてがトーナメントだけにあるとは限らない。

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34歳の小林伸太郎はこの7月以降、自分の練習に打ち込む傍ら、多くのアマチュアを“指導”していた。用具契約を結ぶ本間ゴルフが展開する東北、関東の小売店に足を運び、延べ8日にわたって一般ゴルファーのクラブフィッティングのアドバイザーを務めた。

「僕はフィッティングに自信を持っている」と自負がある。ギアへのこだわりが強く、かつて中古ゴルフショップチェーンがスポンサーだった時期もあるほどだ。「アマチュアの方を見ていると、本当はもっと飛ばせるのに…と思うことが多い。自分のショットのスピン量、高さの適正を理解されていない方がたくさんいる。僕のフィッティングは『普段、お使いのボールは何ですか?』が始まります。そうでないとクラブは合わせられないので」

プロゴルファーは大会での賞金だけでなく、企業や個人と結ぶスポンサー契約料も収入の多くを占める。契約にはプロ側の義務として「拘束日」が盛り込まれるケースが多く、試合のない期間にスポンサーのプロモーションイベントに出席したり、懇親会に参加したり、トップ選手であれば企業のCM撮影などにも充てられる。

今回、小林のフィッティング行脚は“ボランティア”だった。「いいんですよ、別に。普段から本間さんには無理難題を押し付けているので(笑)。僕たちは持ちつ持たれつの関係。こういう状況だからこそ、皆さんのためになること、恩返しが大切かなと」

各日8人のゴルファーを相手に1人30分ずつ、感染対策を施したうえでプロならではのアドバイスを送った。そのうち8割以上の参加者の同社製品の購買につながったというから、サービス精神はもとより、その“営業力”にメーカー関係者が感謝したのもうなずける。

多くの人の生活基盤を脅かす未曾有の事態に陥ったとき、アスリートは存在意義さえ問われることがある。プロゴルファーとしていま何ができるか。数少ない試合で活躍する、そのために腕を磨くという“本分”だけで周囲の期待に応えられているのか、と悩む選手もいる。

「ゴルフという競技はどのスポーツよりも、アマチュアの方に支えられている競技だと思う。アマチュアがいるから僕はプロとしてやっていける。大会も一般のアマチュアの方が開催してくれている」。観戦する人がプレーヤー目線で、プロの心理を共有したり、技術やメンタルを尊敬したりできる数少ないスポーツかもしれない。小林はそんな、観る人との接点の多さに、ゴルフ人気の上昇、ひいては男子ツアー復興へのヒントもあるとみる。

「ゴルフは三密が避けられるスポーツ。コロナ禍で前年よりも売り上げが伸びたゴルフ場もある。ゴルフにとっては逆にチャンスになる部分もあるはずです。もっとメジャーなスポーツになってほしい」というのが願い。プロゴルファーとしてのあり方を、いまも自分に問うている。(静岡県御殿場市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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2020年 三井住友VISA太平洋マスターズ



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