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パスポートは「ボロボロに」 星野陸也は欧州でタフになった

◇欧州男子◇コマーシャルバンク カタールマスターズ 最終日(11日)◇ドーハGC(カタール)◇7475yd(パー72)

激しい鼓動も、荒い息遣いも耳に届いていた。「『はあ、はあ』という声が聞こえるくらい」。最終18番(パー5)、グリーンで後続に1打差に迫られ、パーセーブに残したのは1m強のフックライン。星野陸也は視線をカップ内側に集め、覚悟を決めて打ったウィニングパットの行方にガッツポーズを作った。

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昨年9月の「カズーオープンdeフランス」の久常涼に続く、日本勢4人目の欧州男子ツアー制覇。青木功とも、松山英樹とも同じステージで頂点に立った。「本当にうれしい。応援してくれた方々、家族に恩返しができた」。海外選手を破ったホールアウト後、欧州ツアーの仲間である川村昌弘中島啓太からも祝福され胸を熱くした。

20歳だった2016年にプロ転向。同年末の最終予選会で2位に7打差をつけ、鳴り物入りで日本ツアーに飛び込んだ。通算6勝目を飾った2022年に自己最高の賞金ランク2位。上位3位までに付与される翌23年の欧州ツアーの出場資格を頼りに海を渡った。

試合数が限定される優先順位の低いカテゴリーで歯を食いしばり、ポイントランク81位で今季のシードを獲得した。毎週異なる国でプレーする独自色の強いツアーで、長距離移動、環境や言語の違いにも苦労。最初の数カ月は慣れないパン食も「無理やり詰め込むような感じ」で体力をつなぎ、異なる文化との付き合い方を日々、学んできた。

昨年11月に開幕した新シーズン、「オーストラリアPGA選手権」でミンウ・リー(オーストラリア)に次ぐ3打差の2位。翌週の「オーストラリアオープン」ではホアキン・ニーマン(チリ)にプレーオフで敗れた。世界トップレベルとの激闘の連続を経て、「いざ優勝するとなると、もう1段階、いざという時にバーディをちゃんと獲らなくちゃいけない」と、今季3回目の優勝争いで気持ちを強く持った。

3人が並ぶ首位から出て、単独トップで折り返しても油断はない。「雨と風がすごくて、4日間で一番というくらい難しかったが、欧州ではこんな日も1人、2人は良いスコアを出す選手がいる。厳しい状況でも絶対に守りに入らないようにした」。6バーディ、2ボギーの「68」。通算14アンダーでの逃げ切りは、「1つバーディを獲っても、『あと2つ、あと2つバーディを獲るんだ』と自分にプレッシャーをかけ続けた」結果だった。

日本で培ってきた7年あまりの実績が、そのまま大陸で通用したかと言えばそうでもない。「クラブの進化もあって、日本ツアーを戦うためには球筋はある程度、一定で良いと思っていた。でも、欧州は想像以上にコースが狭くて、日本でほとんどドローだったのをフェードもしっかり打てるようにした」と1年かけてショット技術の引き出しを増やしてきた。

もともと、ゴルフにおいては“繊細過ぎる”性格。それが、「毎週違う土地で、毎回、最高の状態を維持できるわけではない」と海外生活を通じて、必ずしも100%のコンディションでない自分を受け入れる、精神的な強さも身に付いた。

今週のオープンウィークはカタールに残って練習を続け、22日開幕(木)の次戦に備える。次の行き先はアフリカ・ケニアだ。「世界中で、いろんな大会をやるツアー。パスポートはもう(出入国の)スタンプだらけで、ボロボロになってきました」と笑う。

年間ポイントレースでロリー・マキロイ(北アイルランド)に次ぐ2位にいる。有資格者を除くトップ10でシーズンを終えれば、来季PGAツアーの出場権も手に入る。「今季は初優勝だけじゃなく、2勝するという目標を立てたので、まずは2勝目を狙いたい。当然、オリンピック(出場)も視野に入っています」。2大会連続の五輪出場、その先の米国進出を見据えた。(編集部・桂川洋一)

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