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2022年のメジャー王者たち(後編)

2022年のメジャー大会はいずれも目の離せないドラマ性と、素晴らしい話の筋書きであふれていた。今回は、そんなメジャーを制覇した王者たちについて振り返ってみよう。後編は「全米オープン」と「全英オープン」。

◆フィッツパトリックが念願のメジャー初制覇

ブルックラインのザ・カントリークラブで開催されたメジャー3戦目の第122回「全米オープン」でも、劇的な幕切れが待っていた。

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「全米プロゴルフ選手権」最終日に優勝争いから脱落したマシュー・フィッツパトリックは、2013年にブルックラインで「全米アマチュア選手権」を制覇しており、良き思い出とともにマサチューセッツへ降り立った。イングランド人選手は大会初日を2アンダー「68」でラウンドし、首位に立ったカナダのアダム・ハドウィンと2打差につけた。

2日目に最も大きな動きを見せたのはコリン・モリカワであり、「66」をマークした米国人スター選手は通算5アンダーの首位タイで大会を折り返し、その1打差にはロリー・マキロイ(北アイルランド)とディフェンディングチャンピオンのジョン・ラーム(スペイン)が続いた。

メジャーの舞台で最高のゴルフを披露するとの評価を確固たるものとしたウィル・ザラトリスは、第3ラウンドに「67」とこの日のベストスコアをたたき出し、フィッツパトリックと並ぶ首位タイに急浮上して最終日を迎えることとなった。1打差にはラーム、さらに1打差にはスコッティ・シェフラーがつけており、興奮の最終日は約束された状況となっていた。首位タイで3日目をスタートしたモリカワとジョエル・ダーメンは、それぞれ「77」と「74」でラウンドし、優勝は絶望的となった。

最終日は首位が何度も入れ替わる手に汗握る展開となる中、18番で非凡なバンカーショットを見せたフィッツパトリックが1打差で大会を制覇し、メジャー初優勝を遂げた。

まず、シェフラーが6ホールの間に4バーディを奪って首位に浮上すると、3番と5番でバーディを奪ったフィッツパトリックが1打のリードを持ってバックナインに入った。しかし、10番と11番で連続ボギーをたたき、同組のザラトリスを2打差で追う状況に。それでも13番で14.5mのバーディパットを決めてザラトリスに並び、15番ではボギーを喫したザラトリスを尻目にバーディを奪って2打差の首位に抜け出した。諦めないザラトリスも見事なティショットを放った16番(パー3)のバーディで希望をつないだ。最終18番はフィッツパトリックがフェアウェイバンカーからの奇跡的なリカバリーで2パットのパー。ザラトリスは入ればメジャー2戦連続のプレーオフとなるバーディパットだったが、惜しくも決められなかった。

「これは子どもの頃からの夢だった」と有頂天のフィッツパトリックは述べた。「この感情を語る言葉は、とてもありきたりなものだけど、これは子どもの頃に夢見ていたものだった。あす、幸せ者として引退することだってできるよ」

◆スミスがセントアンドリュースで猛チャージ

シーズン最後のメジャーは、ゴルフの故郷であるセントアンドリュースのオールドコースで、「全英オープン」が150回目の開催を祝う歴史的な大会となった。

開幕前には大会3勝のタイガー・ウッズが、オールドコースでの優勝の可能性を高めるために「全米オープン」を欠場していたことからも、メジャー復帰戦でどのようなパフォーマンスを見せるかについての議論が交わされていた。

しかし、戦前の期待をよそに、ウッズは1番ホールでダブルボギーをたたくと、その後も苦しいラウンドとなり、初日を6オーバー「78」とした。第1ラウンドを終え、首位にはノーボギーの「64」をマークしたPGAツアールーキーのキャメロン・ヤングが立ち、マキロイはその2打差につけた。

2日目にはキャメロン・スミス(オーストラリア)が「64」で通算13アンダーまでスコアを伸ばし、2打差の首位で週末を迎えることとなった。3位タイの好位置には、ビクトル・ホブラン(ノルウェー)とマキロイの欧州勢がつけた。この「ライダーカップ」コンビは、記録的な数のギャラリーを前に第3ラウンドでそろって「66」をマーク。スミスとヤングが2日目までの好調を維持できない中、4打差の首位タイとしてこの日を終えた。

マキロイによる8年ぶり5回目のメジャー制覇へ期待が最高潮に達する中、クラレットジャグを掲げたのは、セントアンドリュースのフェアウェイを囲んだ大ギャラリーをがく然とさせたスミスだった。10番から5連続バーディを奪うなど、ノーボギーの8アンダー「64」をマークした豪州人選手は、18番でイーグルを奪ってマキロイを2位へと押しやっていたヤングに1打差をつけてフィニッシュしたのである。

「過ちをたくさんしたようには感じていないけれど、ラウンドを通してパターが決まってくれなかった」と、9ホールを残して2打差の首位に立っていたマキロイは言った。

一方、スミスは「全英オープンで優勝すること自体、恐らくゴルファーにとってキャリアのハイライトになると思う。セントアンドリュースでそれを達成できたのだから、とにかく信じられない思いがする」と述べた。

エリートレベルのスポーツの場合は往々にしてそういうものだが、今年のメジャー4大会のうち3大会の結果は、成功と主観的な失敗との差がいかに微細なものであるかを適切に示したものとなった。

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