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2016年を振り返る:ダニー・ウィレット編

メジャー初制覇、第一子の誕生、「ライダーカップ」でのデビュー。ダニー・ウィレットにとって今年は思い出深き一年となったが、コース上での出来事となると、やはり、公式世界ゴルフランキングをキャリアで初めてトップ10まで押し上げ、2年連続してポイントレース「レース・トゥ・ドバイ」で2位に入る原動力となった「マスターズ」での見事な優勝になるだろう。

2015年シーズンのヨーロピアンツアーで2勝を挙げ、7度のトップ10入りを果たしたイングランドのウィレットは、勢いそのままに新シーズンを迎えた。

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「ネッドバンクゴルフチャレンジ」で4位に入ると、2月の「オメガドバイデザートクラシック」で早くも勝利を挙げた。

その勢いを持続させると「WGCキャデラック選手権」で3位に入った。そして、キャリアを激変させるグリーンジャケットを獲得し、世界最高のゴルファーの一人というステータスを得たのである。

その後、「イタリアオープン」で2位に入るなど、2度のトップ10入りをしながらも、あのオーガスタの日曜日に味わった陶酔感の再現を果たせなかったことに対して自己批判をしたが、2016年が今後を含めた彼のキャリアにとって最高の1年になったことは疑いようのない事実である。

ドバイのドラマ

ウィレットは1年の早い段階でギアを最高速にいれ、2月の「オメガドバイデザートクラシック」で劇的な勝利を収めた。

エミレーツGCでの最終日を1打差の首位で迎えたウィレットは、日曜の午後、2度にわたり後続に3打差をつけるも、アンディ・サリバンが最終ホールでバーディを奪い、ラファ・カブレラベローが上がり2ホールで連続バーディを奪ったことで、最終ホールで4.5メートルのウィニングパットを沈めなくてはならなくなった。

そして、鋼の精神力を見せたウィレットは、下りのスライスラインを見事読み切り、パットを沈めてヨーロピアンツアー4勝目を挙げたのである。

「ゴルフの大会のラスト3ホールで優勝争いをするときのあの気持ちは、お金では買えないよ」とは試合後の勝者の弁である。

「マスターズ」で圧巻のパフォーマンス

ニコール夫人が第一子の出産を予定していため、「マスターズ」のタイトルを懸けてオーガスタでプレーするかどうか定かではなかった。

運命の悪戯というべきか、赤ん坊のザカライア君が大会前に生まれてきたため、その12日後、ウィレットは自身のガッツ溢れる見事なプレーと、ジョーダン・スピースの終盤の崩壊が相俟って、イングランド人選手として20年振りにグリーンジャケットに袖を通したのである。

ウィレットはスピースから3打差で最終日をスタートし、ハーフターンした時点ではスピースが後続に5打差をつけていたため、米国のスターによる2年連続でのワイヤー・トゥ・ワイヤーでの勝利は確実かと思われた。

しかし、スピースが後退するなか、ウィレットは最終日を見事ノーボギーの「67」でラウンドし、同組のリー・ウェストウッドに3打差をつけて勝利を飾ったのである。

ウィレットは、ザカライア君の誕生以降、必ずしもゴルフの大会へ向けた万全の準備ができたわけではなかったことを認めたが、今となっては同じことをしていただろう。

「とてもタフだった。僕らが追いつこうとしても、ジョーダンは常に引き離していたし、とにかくバーディを奪おうと僕らは必死でプレーしていたんだ。振り返ってみると、とても現実離れした一日だったね」。

「今の僕の感情は言葉では表現できないけれど、先週の火曜に僕と妻との間に生まれた子を抱いたときの気持ちも間違いなく言葉では表現できないものだった。とにかく、(この2週間は)すごく非現実的だったね。家へ帰って家族に会うのを楽しみにしている」。

ウィレットにとってのこの一年

シーズンの終盤が近づくにつれ、ウィレットは内省的なムードになっていた。オーガスタでかつてない高みを極めたウィレットだったが、欧州代表としての「ライダーカップ」デビューを飾ったヘイゼルティンナショナルでは、1ポイントも取ることができず、チームは米国代表に17-11で敗れるという、酔いが冷めるような経験をしたのである。

その時点で、ウィレットはメジャータイトルを含むシーズン2勝を挙げ、その他にも「イタリアオープン」で2位に入るなど、4度のトップ10入りを果たしていた。その後、ウィレットは「レース・トゥ・ドバイ」を2位で終え、年末にはBBCスポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー(BBC年間最優秀スポーツ選手賞)の候補にもなった。これは普通の水準からすれば、祝福すべきシーズンといえるわけだが、シーズン最終戦の直前の大会を前に、ウィレットは「マスターズ」優勝後の人生を次のように語った。

「思うに、もっと頻繁に自分の成し遂げたことを振り返るべきだったのだろうけれど、そういうのは用心しないといけないからね」とウィレット。「選手である以上、最高のプレーができているときでも、常により良いプレーができるようトライするものなんだ。常に、よりハードにトレーニングして、より多くの練習を積むんだよ。今年は『マスターズ』で勝って、それは信じられないくらいすばらしいことだったけれど、数週間もすれば、僕はより良くなろうと頑張っていたんだ」。

「もちろん、それがツアープロでいるという点での違いだし、特に僕は自分に厳しいからね」。
「僕はより広い視野を持って物事にあたろうとしているけれど、時として、変なことを思ったりもするんだ。最近は、『残りのキャリアでは毎年20試合で予選落ちするけれど、毎年メジャーでの1勝は約束されているとしたら、それは良い一年だといえるだろうか』なんてことを考えていた。これについては色々な意見があるだろうけれど、僕は良い一年だと言えると思うんだ」。

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