比嘉真美子 憤懣やるかたない2罰打を成長の糧に
パーフェクトなデイがデュビッソンを退けWGC初優勝
2014/02/24 12:49
23ホールに及ぶ長丁場の好勝負となった「WGCアクセンチュア・マッチプレー選手権」決勝はジェイソン・デイがビクトル・デュビッソンを退け、大会初優勝を飾った。
延長に入り2度にわたり並外れたリカバリーショットを披露して望みを繋ぎ、勢いそのままにダブマウンテンでの勝利を手にするかに見えたデュビッソンだったが、23ホール目にして、デイの前に力尽きた。
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フランスのデュビッソンは初めの2ホールをデイに奪われながらも4番ホールまでにオールスクエアに戻す戦い振りを見せたのだが、23歳のデュビッソンはその後の5ホール中4ホールでボギーを叩き、3ダウンとして前半を折り返した。
残り6ホールとなった時点でもデュビッソンは3ダウンとしていたが、13番でバーディを奪ってその差を縮めると、デイがバーディを獲り損ねた17番でもバーディを奪って望みを繋ぐことに成功した。
そして、最終18番ではデイがグリーン奥20メートルから3パットを要したのに対し、デュビッソンはガードバンカーからのパーセーブに成功し、WGC初出場にして初優勝という快挙に向け勝負を延長に持ち込むところまで漕ぎ着けたのである。
しかし、本当のドラマはここから始まった。デュビッソンは延長1ホール目の第2打でグリーンを捕えられず、大きくオーバーしたボールはトランディションエリアまでまで転がり、ほぼアンプレヤブルのライに見えるサボテンの根元で止まったのである。
「トルコ航空オープン」覇者のデュビッソンはここで魔法のショットを披露。グリーンに乗せたばかりか、なんとピンそば1メートルに寄せ、パーをセーブしたのである。一方、グリーン手前のバンカーにつかまったデイも、そこからのパーセーブに成功し、決着は持ち越しとなった。
この延長1ホール目でデュビッソンが見事な脱出劇を見せた際は感情を露にしなかったデイだったが、続く延長2ホール目でデュビッソンが同じトリックを使って再びピンチを切り抜けた際は、苦笑い浮かべ、首を横に振らざるを得なかった。
デュビッソンは延長2ホール目の舞台となったパー4の9番ホールで2打目をグリーン脇の砂漠の茂みに打ち込みながらも、そこから信じられないリカバリーショットを放ち、バーディパットを外したデイを尻目に、2メートルのパーパットを沈めたのである。
このプレーに対し、「ライダーカップ」で米国代表チームのキャプテンを務めるトム・ワトソンはツイッターにて「私が今まで見た中で2つの最高の寄せワンだったぞ、ビクトル!!!」と綴り、ゲーリー・プレーヤーは「これは純粋にファンタスティックなプレーだ。デュビッソンはフーディーニ(脱出芸で有名な昔のマジシャン)だ」と加えた。
この後の2ホールは両者引き分けとなり、延長5ホール目でデイがピンそば1メートルに寄せる見事なピッチショットを見せ、バーディを奪ってようやく決着の時を迎えた。
決勝で敗れはしたものの、この大会を2位で終え賞金65万ユーロを獲得したデュビッソンは、昨シーズンの「トルコ航空オープン」での優勝と合わせ、9月にグレンイーグルスで開催される「ライダーカップ」初出場へ向け大きく前進した。
準決勝ではアーニー・エルスを相手に、4ホールを終えた時点で3ダウンとしながらもそこからの盛り返しを果たして決勝へと駒を進めたデュビッソンは、決勝を終え「幾つか酷いショットを打ってしまったのでがっかりしています。最後に幾つかミスショットをしてしまいました」と語った。
「ジェイソンはとても良いプレーをしましたし、重要なパットを決めました。私が簡単なバーディパットを残しているときは彼もパットを決めてきました。彼の精神力には感銘を受けましたね」。
準決勝ではリッキー・ファウラーを3&2で退け、決勝ではデュビッソンを長丁場の末に下したデイは、これで月曜に更新される公式世界ゴルフランキングでは自身にとって最高位となる4位まで順位を上げることとなり、試合後に「勿論ここまで勝負を長引かせたくはなかったけれど、ビック(ビクトル・デュビッソンの愛称)はガッツ溢れる選手だし、素晴らしいショートゲームを持っているからね」と述べた。
「2度にわたってサボテンのところからパーをセーブした彼はまだ若干23歳にしてあれだけ多くの抽き出しを持っているのだから、これから彼を見る機会は多くなるだろうね」。
「一番大きかったのはどれだけ勝ちたいかという気持ちだったと思う。昨晩はそう自分に言い聞かせていたし、自分がトロフィーを手にする姿を思い描いていた。それを叶えることができて嬉しいよ」。
「この大会の素晴らしいところは(一戦必勝と言う意味合いで)いつも日曜のような気持ちになることだ。自身の度胸を試す上ではこの上ないし、プレッシャーのかかった状況での気持ちが理解できるようになるんだ」。
「6ラウンド戦って、試合が終わるまで自分がどれだけ戦い続けることができるかを知ることができた。それが全てなんだよ。人生でここまで勝利を渇望したことはなかったし、それが果たせてとても嬉しいよ」。
3位決定戦では、エルスが18番ホールでバーディを奪って勝負を延長まで持ち込んだのだが、延長1ホール目でバーディを奪ったファウラーが結局3位で大会を終えることになった。