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小林至博士のゴルフ余聞

プロゴルフツアーに世界統括団体が生まれる可能性はあるのか/小林至博士のゴルフ余聞

2024/08/27 16:34

今週の「ツアー選手権」をもって、米PGAツアーのことしの主要大会が終わる。男子ゴルフの次なる主要国際大会の大舞台は来年4月の「マスターズ」。それまで7カ月以上も待たなければならない。待ち遠しいが、ちょっとインターバルが長過ぎやしないか、と感じる。

もちろん、その間に国内ツアーの「日本オープン」や欧州ツアーの「DPワールドツアー選手権」といった、見応えある大会は控えている。また、プロゴルフで最もコンテンツ価値が高いといわれる「ライダーカップ」が隔年で9月に開催される。ライダーカップがない年(今年がそう)には「プレジデンツカップ」が行われ、こちらも年々人気を増している。

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しかし、やはり世界のトッププロたちが心震わせ、感極まるようなトーナメント、例えばオリンピックで金メダルを手にしたスコッティ・シェフラーが感涙にむせんだような、ああいった大会は、マスターズまでおあずけだ。

ゴルフと同じく個人競技、そしてプロツアーが世界的な人気を博すテニスでも、メジャー大会(グランドスラム)とツアー選手権(ツアーファイナルズ)、そして4年に一度の五輪というスケジュール構成だ。だが、ゴルフのように半年以上も“空白期間”があるわけではない。1月には全豪オープン、5月には全仏オープン、7月にはウィンブルドン、8月には全米オープンが続き、11月にツアーファイナルズとなる。

この違いは、結局のところ、ツアーのワールド化が成されているかどうかに尽きるだろう。男子テニスは、ATPという世界統括団体のもとでスケジュールが調整されているが、ゴルフにはそれがない。米PGAツアーは、世界最高峰のツアーであり、多くの名手が腕を競う場であるが、あくまでアメリカ国内の団体であり、世界を統括するものではない。したがって、スケジュールもアメリカ・ファーストが基本となる。

8月でシーズンが終わるのも、9月に入るとアメリカンフットボールが開幕するためだ。アメフトはアメリカで圧倒的な人気を誇り、金曜は高校、土曜は大学、そして木・日・月はNFLと、人々の目を釘付けにする。ちなみに、オリンピックが酷暑の7月末から8月上旬にかけて開催されるのも、アメフトを避けるためである。世界中が熱狂するオリンピックだが、その運営母体であるIOC(国際オリンピック委員会)にとって最大の顧客は、米国内の独占放映権を持つNBCである。

では、プロゴルフツアーにATPのような世界統括団体が生まれる可能性はあるのか。私は、米PGAツアーとLIVの合併交渉に注目している。興行ビジネスに携わる者なら誰でも、この7カ月間の空白に、インパクトのある主要大会を模索するはずだ。テニスのように南半球を舞台にするか、経済成長著しいインドや中国などのアジア市場、あるいは中東に目を向けるか。デッドロック状態といわれる合併交渉が、果たしてどのような結末を迎えるのか、注目したいところである。(小林至・桜美林大学教授)

小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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