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小林至博士のゴルフ余聞

デシャンボーの“よろい化”はゴルフの新様式か

PGAツアーのライブ中継をテレビ観戦するきょうこの頃である。筋書きのないドラマが展開されるライブスポーツイベントに飢えてきたことと、勤務する大学の講義も会議もオンラインという生活スタイルゆえ、夜ふかしへの障害が減じた状況が生んだニューノーマルだ。PGAツアーウオッチャーとして、とりわけ興味をもって観察しているのが、鎧(よろい)化したブライソン・デシャンボーである。

本人によれば、コロナ禍で中断中の3カ月で9㎏、肉体改造を開始した9カ月前からとなると20kg、ほぼ筋肉だけで増量したという。ぽっちゃりせり出したおなかから想像するに脂肪もついているのではないかという気はするが、ロフト5.5度というパター(ロフト3~6度)並みのフラットな面から繰り出される平均320yd、最大400ydに達したドライバーショットに釘付けである。

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素人では真似できない超人技こそがプロの真骨頂。その異次元ショットは見るだけで十分価値があるのだが、もうひとつ、私が関心を持っているのは、短期間に大幅に筋量を増やした肉体を果たして自在に操ることができるのだろうか?ということ。元アスリートとしての興味でもある。

デシャンボーが、短期間に筋量を急増できたことについて、アメリカではネットメディアを中心にPED(運動能力強化薬物)を疑う声が出ているが、こうした憶測や噂の真相はともかく、PEDなしでもこのくらいの増量が十分に可能であることを、私は知っている。

たとえば、プロ野球においても、シーズン終了からキャンプが始まるまでの3カ月間で、筋量を10㎏前後増やした例は、私がソフトバンク球団の取締役を務めていた間に複数あった。私自身、ロッテの投手だった現役時代、球速を増すためウエートトレーニングを信奉し、シーズンオフの間に5㎏ほど筋量を増やしたこともある。結果、ベンチプレス、スクワットの重量は球団屈指になったものの、残念ながら球速は増すことなくクビになった。が、これは私のやり方が悪かっただけ。つまり増量は可能である。

困難なのは後者、すなわち手に入れたニューボディを自在に操ることである。筋肉であれ脂肪であれ、短期間に10㎏もの増量をすれば、それまでの体の動きを間違いなく阻害する。特に、ミリ単位、コンマ秒の感覚を要する動作、投手でいえば制球力は大きく影響を受ける。剛速球は快感だし、見世物としての価値も高い。しかし、投手としての生命線はなんといっても制球力である。ゴルフでも、飛距離は魅力的だし、アドバンテージではあるが、スコアを競うトーナメントプロにとって、ショートゲームやパットの繊細な感覚を犠牲にしてまで得るものではないというのが定説だった。

ところが、デシャンボーは、肉体改造後のトーナメントで7回連続トップ10、うち優勝1回。飛ばすだけでなく、カップに入れるまでの様々な動作を意のままにできたということである。

コロナ禍がいずれ終息した時に、元通りになるものもあれば、戻らないものもある。デシャンボーの鎧化はどちらだろうか。ゴルフのニューノーマルになるのか、あるいはいずれ収斂する特異現象なのか、楽しみに注目してみたい。(小林至・桜美林大学教授)

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小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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