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2022年 全米女子オープン
期間:06/02〜06/05 場所:パインニードルズ・ロッジ&GC(ノースカロライナ州)

小林至博士のゴルフ余聞

目が離せないメジャーの季節 ゴルフとテニスの経済力を考察/小林至博士のゴルフ余聞

ゴルフの「全米プロ」が終わったと思ったら、テニスの「全仏オープン」が始まっている。全仏の最終盤は、ゴルフの「全米女子オープン」と日程が重なる。これからの3カ月間(つまり夏)は、ゴルフとテニスのメジャー大会が毎週のように続く季節である。

ゴルフとテニスは、競技性は違うがどちらも個人競技で、富裕層を中心に世界中の老若男女に親しまれ、大きな市場を形成している点において、比較されたり同列に論じられたりすることが多い。フォーブス誌の恒例企画、アスリート長者番付の2022年版がつい先日発表され、これから両競技のメジャー大会が毎週のように続くこの折に、いま一度その経済力について整理を試みたい。

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競技人口はゴルフが6600万人、テニスは1億1000万人。25mプールほどの空間があればなんとかなるテニスに対して、ゴルフは広大な敷地を要する上にそろえるギアも多岐にわたるから、もっと差がついても不思議ではないが、各種統計によれば上記の数字である。

用具市場の規模は、ゴルフが9000億円(1ドル130円で計算、以下同)、テニスが1000億円。それぞれに必要なギアを考えれば、そんなものだろうという気がする。施設については、小さめのゴルフ場でも、テニスコート5000面分に相当する100ヘクタールを要することから、比較する意味は薄いと思われるので省略したい。

“する”ほうの比較はこの辺にして、“見る”ほうはどうだろうか。

優勝賞金は、メジャー大会のそれを比較すると、例年僅差だが、今年はグレッグ・ノーマンの新ツアーに対抗するためか、ゴルフの優勝賞金が軒並み20~30%引き上がり、ゴルフのほうがやや高い。たとえば、ゴルフの最高峰「マスターズ」の優勝賞金は3億5000万円だった一方、テニスの最高峰「ウィンブルドン」の優勝賞金は、最終確定はまだだが3億円と推定されている。

最新のフォーブス誌アスリート番付の上位50人に名を連ねているのはどちらも3人。テニス最上位(全体7位)のロジャー・フェデラー、ゴルフ最上位(全体14位)のタイガー・ウッズが象徴的(どちらも獲得賞金はほぼゼロ)だが、エンドースメント契約など競技外での収入が大半を占めるのが、愛好者の中心が富裕層である両競技の特徴である。

過去に同番付トップ10入りした選手の数もゴルフ7人、テニス6人と拮抗している。ちなみにゴルフはウッズ、ジョーダン・スピースロリー・マキロイフィル・ミケルソン、ノーマン、ジャック・ニクラスアーノルド・パーマー。テニスはフェデラー、モニカ・セレシュ、ジム・クーリエ、アンドレ・アガシ、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチである。

ゴルフはブランドを確立したスーパースターともなれば、引退後も長きにわたって稼ぎ続けられる。パーマーは、86歳で亡くなる前の年(2015年)も50億円以上の収入があった。引退後にトップ10入りしたテニス選手は過去いない。

テニスが際立つのは、女性選手の収入が男性と遜色ないことだ。1992年にセレシュが女性アスリートとして初めてトップ10入りし、その後もマリア・シャラポワ、ウィリアムズ姉妹、大坂なおみら、女性アスリートの収入トップは常にテニス選手である。一方、女性ゴルファーでトップ10入りした選手は過去にいない。(小林至・桜美林大学教授)

小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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