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小林至博士のゴルフ余聞

ゴルフ競技の時短 あの話はどうなった?

2021/03/31 19:10

コロナ禍を奇貨として、足元を見つめ直し、これまで先送りにしてきた問題点の是正を含め、コロナ明けに、より良い商品・サービスの展開を…。こうした試みは、政官財あらゆる部門において取り組まれている。その多くが、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化と品質向上だが、スポーツ界も例外ではない。

テニスは線審がいなくなった。自動ライン判定システムの適用範囲を拡げ、イン・アウト、サービス時のフットフォールトまで判定するようにした。昨年のツアー選手権を経て、今年2月の「全豪オープン」つまりメジャー大会(グランドスラム)でも採用された。正確性が向上し、選手のチャレンジ要求がなくなることで時短になると、優勝した大坂なおみも含め、選手にはおおむね歓迎されている。問題は雇用である。グランドスラムにもなると、線審の数は9人にも上る。

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米大リーグ(MLB)でも、ストライク・ボールの自動判定システムが、マイナーリーグの試合で導入される。また、昨年、コロナ禍の暫定措置として導入された時間短縮の取り組み(ダブルヘッダーの試合における7イニング制と延長戦の無死二塁からのタイブレーク制)も継続が決まった。野球の試合時間、ペースが現代の若者の感性にマッチしていないとの調査結果を踏まえたもので、本格導入のための実証実験である。ここでも雇用が問題になる。審判はもちろん、イニングが減れば選手の数も減ることになる。

さて、ゴルフはどうか。コロナ禍を境に、競技方式やルールなどが大きく変わるというような話は聞かない。三密にならない娯楽、健康にもいいということで、世界的に大ブームとなっているいま、何かを変える必要はないということなのかもしれないが、コロナ前までは、競技人口の高齢化と減少が長期にわたり続いている状況を踏まえ、要する時間と費用を何とかできないか、と様々な議論がなされていたことをふと思い出す。

例えば、ホール数を減らす案は著名トッププロも声高に主張していた。ジャック・ニクラス案は「12」、グレッグ・ノーマンは「6」だったが、そうなると、既存の18H仕様のコースはどうするか。R&Aによればその数3万2471。ゴルフ場の建設費用や維持運営費用を踏まえると、簡単な話ではなさそうだ。

私が面白いと思ったのは、ホール(カップ)を大きくする案である。ゴルフは、腕にもよるが、パットが打数の半分ほどを占める。14本もクラブがあるのに、そのうち1本で半分が決まるのは非合理ではないか。何よりもゴルフの醍醐味はショットじゃないの、という考えは昔からあり、私がフロリダに住んでいたときには、近所でカップの大きさを規則(直径4.25インチ=108㎜)の倍の約20㎝にしたローカル大会が開催され、取材に行った。数年前には、テーラーメイド社が直径38㎝(15インチ)のカップを提唱し、契約プロのセルヒオ・ガルシアらがラウンドするなどの実証実験を行っていた。これ、するのも見るのも楽しそうではありませんか?(小林至・桜美林大教授)

小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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