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小林至博士のゴルフ余聞

「あんたも好きねぇ」懐かしき真夏のオーランド“ひとりゴルフ”体験記

2020/08/26 17:45

ゴルフ専門チャンネルに「ひとりゴルフ」というプログラムがある。これを見て、記憶がひとつ蘇った。同番組は、プロゴルファーがひとりでゴルフをする様子を、ドローンも含めた必要最小限のカメラで淡々ゆるりと追う構成である。新たな日常ならではの新機軸だが、私の心を妙に揺さぶったのは、実はその昔、ひとりゴルフに耽ったことがあるからだ。

フロリダ州オーランドに住んでいた90年代後半の夏は、ひとりゴルフの時間だった。北回帰線内に位置する亜熱帯気候の当地は、夏場になるとほぼ毎日、午後に強烈な雷雨が襲来する。とりわけ8月後半から9月中旬は耳をつんざく雷音が鳴り響き、ゴルフ場がものの数分で水没するような土砂降りが頻発し、かなり怖い。オーランドを含むフロリダ中部は、世界でも指折りの雷頻発地域なのだ。そのため、ディズニー・ワールドやユニバーサル・スタジオなどは観光客で賑わうが、ゴルフ場は空いている。特に、住民しかプレーしないようなローカル・コースの夏の午後は、がらがらである。

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私の行きつけは、当時住んでいたアパートから車で5分足らずのパブリックコース、サイプレス・クリークCCだった。7014yd、パー72。18ホールで池が絡むレイアウトは戦略性に富み、視覚的にも美しいコースなのだが、夏場はどうせ客が来ないからと割り切って、ろくに整備もしないので、劣悪なコンディションである。水がジワッと湧き出るぶよぶよの地面で、カートのわだちはカジュアル・ウォーター化し、そこかしこにボウフラが湧いている。グリーンは、パターで転がせばザザザッと音がして急停車するような遅さだ。それでも、それを補って余りある“掟破りの喜び”が、このコースにはあった。

狙い目は正午前後。プレー代は税込み20ドル(ちなみにクリスマスや春休みなどの繁忙期は60ドル)。併設のバーで、顔なじみのおばちゃんから「あんたも好きねぇ」と突っ込まれつつ、ダイエットコークとホットドッグをチップ込み5ドルで仕入れ、カートに乗り込んだらレッツゴーだ。

近所の雑貨店で1ダース5ドルで手に入れたロスト・ボールをばらばらと地面に散らして、「1号」、「2号」などと命名してボールごとのスコアをつけながらやるときもあれば、納得いくまで打ち続けることも。たまに、他のゴルファーに追いついたり、追いつかれたり。そういうときは前のホールに戻ったり、追い抜いたりと、その日の気分次第でどうにでもなる。時に合流することもあるが、1~2ホールでそれぞれに戻っていく。避けられないのが雷雨だ。避雷小屋でやり過ごすか、長くなりそうな時は諦めて帰る。

そんな若かりし頃の思い出が詰まった同コースは2007年に閉鎖された。人口の増加に伴い、居住区に変容したのである。歳月を経て、いまやゴルフ場だったという痕跡は、所せましと居並ぶ住宅群の一角が「フェアウェイ・コンドミニアム」と名付けられていることに、わずかに残るのみ。(小林至・桜美林大学教授)

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小林至(こばやし・いたる)
1968年生まれ。江戸川大学教授を経て、2020年4月から桜美林大学(健康福祉学群)教授。92年、千葉ロッテにドラフト8位で入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となる。93年退団。翌年からアメリカに在住し、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)取得。2002年から江戸川大学助教授となり、05年から14年まで福岡ソフトバンク球団取締役を兼任。「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げなどに尽力。近著に『スポーツの経済学』(PHP)など著書多数。

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