「どうするつもりなんだよ、お前!」 藤田寛之にジワジワ芽生える闘争心
◇米国シニアメジャー第1戦◇リージョンズトラディション 3日目(17日)◇グレイストーンG&CC (アラバマ州)◇7249yd(パー72)
朝から激しい雨が降ったにもかかわらず、上りのロングパットを打ったら2m近くオーバーした。藤田寛之は「そんなに打った!?」とボールの行方を見てガックリ。プロ33年目のキャリアを持ってしても、ここでは新しい壁が次から次へと立ちはだかる。
2日間「70」を並べて26位で迎えた3日目は、朝の練習場から「ボロボロだった」と悪い予感はしていた。2打目でグリーンを外した最初の1番はアプローチでパーを拾ったものの、2番(パー5)で再びピンチ。1打目を左のラフに入れ、8Iで刻んだ2打目はトップして低く転がっていった。フェアウェイからの3打目は右奥のピンまで130yd。左横にキャリーしたが、段を転がって10m超えのロングパットが残った。
「なんか、グリーンが読み切れない」。スライスラインと読んで打ったファーストパットは、カップの左を大きく外れて2mオーバー。「スライスに見えて、打ったらフック。ラインが正しければ、(返しが)短くて済んでいるのに」。雨で重くなったはずなのに、イメージよりもボールが転がっていくグリーンにアジャストできない。
返しもカップをかすめてボギーをたたき、3番もバンカーからの2打目が大きくオーバーして3オン2パットで後退。5番(パー5)も落とし、5ホールを終えて3ボギーを喫した自分に「どうするつもりなんだよ、お前!」と思わず腹が立った。
それでも「一個一個、頑張っていくしかない」と深呼吸。6番からの7ホールはパーを拾ってじっと耐え、13番(パー5)でご褒美が来た。2打目をピンそば30cmにつけて今週2個目のイーグル。「そこまで、一生懸命ガマンしていたから」と流れをつかむと、17番(パー3)は2mを決めて前半の3オーバーを取り戻した。
「きょうは(スコア)80を打つかと思いましたよ」という前半からカムバックし、1イーグル1バーディ、3ボギーの「72」で通算4アンダー39位。3日間オーバーパーを打つことなく耐えきったが、それではもちろん満足できない。「楽しむ、と言いつつ戦っている自分がいる」
レジェンドが集うツアーに来た当初、「毎週20位以内」と決めた目標ではだんだん物足りなくなってきた。「しっかりなのか、やっとなのか…パープレーに戻せたので、納得するしかないですね」。自分だってメンバーのひとり。もう「楽しむ」だけでは満足できない。(アラバマ州バーミンガム/谷口愛純)