アジアンツアーのトップが親日派である理由/ジョシュ・バラックCEOインタビュー(上)
単独開催か共催か?アジアンツアーの日程戦略
ジョシュ・バラックCEOインタビュー(中)
昨年10月にアジアンツアーのCEOに就任したジョシュ・バラック氏(46歳)が、4月下旬に行われた日本ツアーとの共同主管試合「パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ」で来日した。大会会場でGDOの単独インタビューに答え、アジアンツアーの展望や自分自身について語った。
◆単独開催の増加を狙いつつも「ないよりは、あった方がいい」
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今季、アジアンツアーは年間19試合が組まれている。このうち、アジアンツアーの単独開催は8試合、欧州ツアーとの共催が7試合(うち3ツアー共催が3試合)で、日本ツアーとの共催は4試合。これに4大メジャー大会とWGCの計8試合を含めた計27試合が賞金ランキングの加算対象試合となる。
「ここ数年はアジアだけでなく、世界的にもチャレンジングな経済状況でした。そんな中で、アジアンツアーのスケジュールは成長していなくとも、とても安定していたと言えると思います。でも、この先は楽観視しています」と、バラック氏はツアーの現状認識を明かした。
昨年11月に、2018年から3年間、フィリピンで欧州ツアーとの共催試合を新規開催することを発表した。今年3月には、中国ゴルフ協会と戦略的パートナーシップを締結。「現在とても活発にプロモーターやスポンサーと話をしているところ」と、今季中に最大4試合、少なくとも2試合を開催するプランがある。5月3日には、いささか慌ただしくはなったが、タイのナショナルオープンである「タイランドオープン」(5月18日開幕/タイ・バンコク)の8年ぶりのツアー復活がアナウンスされた。
アジアンツアーとしては、将来的には単独開催の試合数をツアー日程の半分まで持っていくことが目標という。だが、「ないよりは、あった方がいい」と、いまは試合数を増やすことを優先している。「我々のメンバーを満足させるためにフルフィールドのイベント(単独開催)を増やすことも重要だけど、世界経済の状況を考えると、現実的になる必要もある」。世界のどの地域でも、一緒にやれる機会があれば手を結ぶ。プロ選手に活躍できる試合を用意できないようでは、ツアーとして存在理由を失うからだ。
「まだまだ、道は始まったばかり」という新CEOは、組織のマインドセットを変えることにも注力している。「目標を達成するには、より強い組織が必要になる。商業的精神と販売者としての心構え。スポンサーを第一に考え、顧客サービスを提供するという意識を高めることを、組織に深く浸透させようと取り組んでいる」。ビジネスエリートのCEOをトップに戴く組織は、こうして効率的に強化されていく。
現在、アジアンツアーの大会は世界180カ国、750万世帯へと全4日間の映像が届けられている。プロアマ大会には各国の主要ビジネスマンたちが集い、ときにはその国の首相が優勝者へトロフィーを手渡すこともある。
「投資リターンとして、メディア露出だけでなく、現場でのVIPホスピタリティやビジネスコネクションなど、多くの潜在的価値を提供できています。我々アジアンツアーは、販売促進を目指す顧客のサービスや製品にとって、強力なプラットフォームだと思いますよ」。
バラック氏はアジアンツアーのポテンシャルに胸を張り、誇らしげに語った。
(つづく)