【’12年11月第4週】ハン・ジュンゴン、イ・ボミの優勝ドライバー&シャフト
<プレー上達の近道>キャディ経験のススメ
2002/10/18 09:00
悲しいことだが、多くのゴルファーは、キャディの仕事を経験せずにゴルフ人生を終える。或いは、キャディを従えてゴルフをする経験もない場合が少なくない。これはゴルフ人生を送る上で、大変損をしていると言える。
筆者は、幼い頃からキャディのアルバイトをしていた。1969年、ちょうどウッドストック・ミュージックフェスティバルが開かれていた週末でさえも、ニューヨークのロングアイランドにあるウッドメアGCで、2人のゴルファーのキャディを1日2ラウンド行っていた。お給金は確か1バッグにつき6ドルだった。
<< 下に続く >>
裕福なゴルファーたちのバッグを担ぐことは、人生にとって代え難い経験となった。もちろん、裕福なだけで、マナーを知らない、ロクでもないゴルファーもいた。ゴルフが上手いだけで、無礼な大人もたくさんいた。
陳腐な表現かもしれないが、キャディをすることで、今日のアメリカ社会があるべき姿を学んだ気がする。それは、朝早く起きて、一生懸命働き、敬意を持って人と接するということである。
最近では、こんな考えを持つ大人はメッキリ減った。こんな勤勉な考えを持つ若者を見つけるのは、さらに困難である。
コースメンテナンスを行うキーパーに聞いてみるといい。夏休みの週末に、朝6時に始まるアルバイト学生を探そうと思っても、時給10ドルくらいでは誰も見向きもしないという。
私がキャディをするのが楽しかった理由は、大好きなゴルフコースにいることができたからだ。芝の輝き、あらゆるものの存在を司る影、そして日が昇るのと同時にコースが目を覚ます姿が何とも言えなかった。蝶のように舞い上がり、そして降り立つゴルフボールの弾道も爽快だった。
しかし、何よりも、お金になったのが一番嬉しかった。好きなことをしてお金をもらえるなんて最高だ。
同時に、時間の大切さを知った。故に、私はプレーが速いのかもしれない。
スロープレーの原因は、カートに頼ってばかりで基礎的なキャディの知恵を持たないが故に、効率的なコースのまわり方を知らず、また、戦略的にコースを攻める術を知らないからだ。
2人のプレーヤーを同時にキャディするのは簡単なことではない。キャディは、プレーヤーの球がどこにあるかを見て、どのルートを通れば時間を節約できるかを常に考えながら歩いているのである。
キャディの経験があるゴルファーは、正しいグリーンの歩き方を知っているし、4人組の場合でも、全員のパットのラインを踏まずにピンを持つということにも気を配る。
キャディの鋭いコース戦略眼は、プレー向上に役立つのは言うまでもない。「時間通りに現われ、きびきびとした態度で沈黙をまもるキャディが良い」という人がいるが、その意見には反論させてもらおう。
近年の主流は、「ゴルフを知り、声をかけるタイミングを知るキャディ」をパートナーにつけることと言われている。良いキャディというのは、コースの隅々を熟知し、その情報を適切に与えてくれるだけでなく、それ以外の様々なことにも気を配ってプレーヤーに集中力をもたらしてくれるものだ。
キャディのあるべき姿を知る人は、ゴルフが上手であるという。それは本能的に上達の秘訣を知っているからだ。
もしキャディの経験がない場合でも、戦略的にコースを攻めるクセを身に付ければ、おのずと上達の近道を発見するはずである。
By Bradley S. Klein
Golfweek