JGT日本ゴルフツアー選手権 勝利の方程式
2002年 日本ゴルフツアー選手権イーヤマカップ
期間:07/04〜07/07 場所:ホウライCC(栃木)
久保谷、佐藤のシーソーゲームは最終ラウンドへ。背後には谷口徹がピタリとつけている
2002/07/06 18:00
前日、落雷注意の影響で進行が遅れ、サスペンデッド(*1)になった。そして、3日目の早朝から第2ラウンドの残りが行われた。44名がコースに残したマークにボールをリプレースして、6時50分に再スタートを切った。
このラウンドでスコアを伸ばしたのはジャンボ尾崎だった。16番パー5でバーディを奪い7アンダーに伸ばしていたジャンボは、最終18番ホールでバーディを奪い8アンダー2位タイに浮上し、最終組に入ることになった。
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ジャンボ以外の最終組は初日から好調の佐藤信人と久保谷健一の2人。6バーディ、ノーボギーと完璧なゴルフだった佐藤が11アンダーで単独首位に立ち、2人が3打差で追いかける恰好になった。
第3ラウンドは、10時から始まり、最終組は11時40分にスタートした。スコアを順調に伸ばす久保谷、佐藤とは対照的に、ジャンボはボギー先行の苦しい展開。結局スコアを2つ落とし、11位まで後退してしまった。
8アンダーからスタートした久保谷は、前半3バーディ、後半も10番でイーグルを奪い佐藤を捕えた。続く11番でもスコアを伸ばし14アンダーで単独首位になったが、12番パー3でこの日初めてのボギーを叩いた。「ピンチでピンチと思わなくなってきたのが良いのだと思う。自分ではピンチをチャンスに変える事はできないけど、パーはキープできるなという心のゆとりがでてきた」と言う久保谷は、その後パーセーブを繰り返し、13アンダーの単独首位で最終日を迎える。
2位に3打差をつけてスタートした佐藤は、久保谷と同じように前半3つのバーディを奪い14アンダーまで伸ばした。しかし、スコアを伸ばしたい10番パー5でバーディを奪えず、11番ではボギーを叩いてしまった。終盤、16番パー5で再び14アンダーの単独首位に立ったのだが、17番パー3でティショットをグリーン右サイドの深いラフに入れトラブルに見舞われた。
佐藤のボールはラフの中に確認できたが、あまりにも草が密集し、まともに打てる状況ではなかった。アンプレヤブル(*2)でカップに近づかないよう、2クラブレングス(*3)の範囲にドロップ(*4)した。しかし、その状況も左足下がりのラフの中。シャンク(*5)気味に当たったボールはグリーンに届かず、このホールでダブルボギーを叩いてしまった。
18番はセカンドショットでグリーンを確実に捕え、パーセーブした佐藤だが、終盤のトラブルが、明日のラウンドに不安が残らないよう、練習で再調整を行うと言う。
佐藤、久保谷と共に、初日5アンダーで首位で並んでいた谷口徹が再浮上してきた。
2日目には、5つのバーディを奪いながら、ボギーも5つ叩くチグハグなゴルフになった谷口だが、この日はボギーを叩かず、確実にスコアを伸ばした。
16番パー5でこの日6つ目のバーディで12アンダーまで行ったのだが、最終18番ホールでピンチを迎えた。
「ちょっと、右からの風を意識しすぎてしまった」と言うティショットは池との境界線のハザードエリア(*6)に入ってしまった。2打目はピンを狙えず、脱出したが、ラフにつかまった。
3打目でグリーンは捕えたが、途中に大きな段差を下らなければならないロングパットが残った。このパーパットを見事に寄せ、ボギーでフィニッシュした。
「明日はパターが早めに入ってくれればいいんですけどね。ショットが調子いいので。ミスショットは18番のティショットだけ。それ以外は満足している」
好調なゴルフが続く3人が最終組で戦うことになったが、3人を追う選手も忘れてはいられない。10アンダーには、先週のミズノオープンで2位に入る活躍をした宮里聖志と、ショットの切れでバーディも量産可能な近藤智弘が並んでいる。共に25歳、ツアーの次世代を担う選手に成長して欲しいのだが、まだ優勝を経験していない。
また、8アンダーには片山晋呉もつけている。首位の久保谷とは5打差あるが、片山としては、この大会のタイトルを狙って出場している。5月の日本プロゴルフ選手権で、プレーオフの末に敗れた雪辱を果たしたいのだが、爆発することはできるだろうか。
【用語解説】
(*1)サスペンデッド
日没などでプレー続行が不可能になること。プレーは中断され、翌日その場から再開される。
(*2)アンプレヤブル
自分が次 のストロークをすることができない場合に、いつでも宣言して球を移動 する救済処置。ホール(カップ)に近づかず、2クラブ以内にドロップする。
(*3)2クラブレングス
自分の使用するクラブ(ドライバー~パター)で半径2本分の距離。
(*4)ドロップ
救済の処置で、ボールを肩の高さで手を真っ直ぐに伸ばした状態から落とすこと。
(*5)シャンク
クラブのシャフトの付け根付近にボールが当たり、目標よりも大きく右に跳んでしまう症状。
(*6)ハザードエリア
一般的に赤、黄色の杭で保護ざれた境界。この範囲内にボールが入った場合、1打罰で救済を求めるか、そのまま打つこともできる。その際、クラブを地(水を含む)に触れてはならない。