【特集 タイガー・ウッズの見方(6)】テレビ解説者&プロゴルファーの視点
1999年 全米プロゴルフ選手権
期間:08/12〜08/15 場所:メディナCC(米国イリノイ州)
ガマンのタイガー・ウッズ、ガルシアの追撃をかわしてついに2度目のメジャー獲得
なんといっても若いガルシア、あるいは無名のカナダ選手ウィア、まだメジャーでは経験不足のシンク。こうした選手たちを相手ならタイガーの悠々勝利かとも予想されていた。しかし現実は厳しい。タイガーの力と経験をもってしても、生涯2つ目のメジャータイトルを手中にするのは苦しい苦しい過程を経なければならなかった。
「失うものはない!」と言っていたウィアは、やはり大崩れに崩れた。シンクも後退。そしてタイガー独走阻止の最右翼かとも思われていた19歳、セルヒオ・ガルシアも2番ホールでボギー先行。取り返しはしたもののなんといってもバーディが少な過ぎ、調子の波をつかむことができなかった。3バーディ、2ボギー。ガルシアらしい爆発は見ることができず、最後のチャンスだった18番のパットもわずかに外れた。あと1ストロークを伸ばしていれば、タイガーvsガルシアという素晴らしいプレーオフ展開もありえたのだが。
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タイガー・ウッズは前半3バーディ。11番でも入れて一時は15アンダーまで伸ばした。しかしこのまま楽勝かと思われたところから危機に見舞われた。12番を3パットして1つ落とし、13番パー3をラフからダブルボギー。16番もまたボギーとして振り出しに戻る11アンダー。以後はスコアを伸ばすというより、いかに落とさないかに終始するような、薄氷を踏む思いの逃げきりだった。
かつてのマスターズのイージーな優勝とはまったく違う勝ち方だった。崩れそうになりながら堪えての逃げきり。こんな成熟した勝ちパターンを覚えてしまった23歳のウッズは、これからどれだけのメジャー勝利を重ねることか。
そして1打及ばなかったとはいえ19歳の“エル・ニーニョ”ガルシアは噂に違わぬ逸材ぶりをしっかり印象付けてくれた。全英での派手な大叩きとも、またこの全米プロ初日のルンルン気分の快進撃とも一味違う、中身のある最終日のゴルフだった。来年、再来年、ウッズとガルシアの対決はこれから何度となく繰り返されることだろう。19歳と23歳、これからたっぷりと楽しめそうだ。