【特集 タイガー・ウッズの見方(4)】ゴルフ担当記者の視点
2001年 全英オープン
期間:07/19〜07/22 場所:ロイヤルリザム&セントアンズ(イングランド)
「ここはボクに合っている!」D.デュバルが悲願のメジャータイトルを掴んだ!
史上稀に見る混戦。最終日のスタート時は誰が飛び出してもおかしくない状態だった。
最終組のD.デュバル、B.ランガーがスタートする時には、すでにスウェーデンのN.ファストが単独トップに立ち、各選手スコアを伸ばしていた。
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しかし、ロイヤルリザムの特徴どおり? スコアを伸ばせたのは前半だけ。後半はスコアを維持することが難しくなった。終始安定したゴルフができたD.デュバルが前半に伸ばしたスコアを守り悲願のメジャータイトルを手にしたのだ。
3番ホールでバーディを奪い7アンダーの首位に並んだデュバルは、6、7番のパー5で確実にバーディを奪い9アンダーと抜け出した。そして11番のパー5では4日連続となるバーディを奪い10アンダーへ。続く12番ではこの日初めてのボギーを叩いたが、13番で取り返し、後はパーセーブを繰り返した。
この大会が混戦になった理由の1つには、ディフェンディングチャンピオンであるタイガー・ウッズの不調が上げられる。6月の全米オープン同様、気合いが空回りしたウッズは、攻めるが故にトラブルに見舞われ、苦しいラウンドとなった。
3日目にスコアを崩したウッズだが、トップと5打差のスタートは、「来るか!」という期待をもたせる位置にいた。1番をボギーにしてしまったが、4番ホールから3連続バーディを奪い3アンダー、追撃体制に入った。しかし、前日同様トラップがウッズを待ち構えていた。12番パー3ではガードバンカーにつかまり出すだけ。集中力がキレたのかトリプルボギーを叩いてしまった。これで万事休す、ウッズの連覇はなくなった。
そして、期待させたもう一人。「今度こそ」とファンが、そして自分自身もそう強く願ったであろうC.モンゴメリーのメジャー制覇である。初日の飛び出しは予定外だとしても、2日目には数々のラッキーにも恵まれ、流れは完全にモンゴメリーに来ていた。しかし、メジャーで首位を守り続ける難しさは、計り知れないモノがあるようだ。
ある意味、3日目に急激にスコアを伸ばし、その勢いで優勝を飾ったデュバルのような試合運びのほうが、メジャーという大きなタイトルを取りやすいのかも知れない。「このコースは自分に合っている」デュバルは自分に言い聞かせた。その信念があったからこそ、終盤も落ち着いてラウンドできたのだ。これまで、メジャータイトルが無いのがおかしいくらいだ、といわれ続けたモンゴメリーが、次に掴むチャンスはいつになることか。
また、欧州のベテラン2人も大会を大いに盛り上げた。ドイツのB.ランガーと、ウェールズのI.ウーズナムだ。3日目の同じ組となった2人は、バーディ合戦を繰り広げ、気付けば優勝争いに絡んできたのだ。しかし、ウーズナムには“悲劇”が待ち構えていた。最終日の1番ティ。ウーズナムのショットはピン手前10センチ、あわや、ホールインワンという完璧なショットで7アンダーは確実。しかし、ウーズナムのキャディバッグから使用しないはずのドライバーが顔をのぞかせていた。
スタート前に練習で使用したクラブをキャディがそのままティグラウンドに持ってきてしまったのだ。クラブが15本入っているのに気がついたウーズナムは、そのドライバーをティグラウンドに叩きつけた。しかし、キャディのミスも自分のミス。1番ホールで発覚したので2ペナルティを加算し、気持ちよくバーディスタートとなるはずが、いきなりボギーになってしまったのだ。
その後3、4番でもボギーで3アンダーまで後退したウーズナムだが、中盤以降スコアを伸ばし通算6アンダーで3位タイでフィニッシュ。もし、事故が無かったら・・・メジャーというものはキャディすら緊張する大会ということか。