感情と、自らのゲームをコントロールするタイガー・ウッズ
2002年 全米オープン
期間:06/13〜06/16 場所:ベスページステートパーク ブラックコース(米国ニューヨーク州)
タイガー勝利!優勝賞金100万ドルを得て、生涯獲得賞金額は史上初の3000万ドル突破
最終日は朝から陽光が差し、穏やかな天気の下での優勝争いとなるはずだった。しかし、午後遅くには雨が降り出し、雷も近づいたため、午後6時3分から49分間、プレーは一時中断。6時52分に再開し、暗がりの中でなんとか大会終了に至った。
最終日は最終組をともに回るタイガー・ウッズとセルヒオ・ガルシアの一騎打ちになるか、それともフィル・ミケルソンを交えた三つ巴になるかが注目されていた。しかし、蓋を開けてみれば、そのどちらでもない。ミケルソンがバーディスタートを切ったのに対し、タイガーは出だしから2連続3パットで3アンダーに後退。優勝争いは早々に2打差になったタイガーとミケルソンの一騎打ちの様相を呈した。しかし、ミケルソンは5番、6番で2連続ボギー。逆にタイガーは7番で今日初めてのバーディ。前半を終えた時点では2人のストローク差が1つ縮まり、タイガーが4アンダー、ミケルソンがイーブンパーという状況だった。
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後半、ミケルソンは11番、13番でバーディを奪い、再びタイガーに2打差まで詰め寄ったが、タイガーも13番パー5で2オン2パットのバーディ。5ホールを残して3打差は、まだまだひっくり返る可能性が多分にあった。勝敗を決定づけたのはミケルソンの16番だ。ティショットを左ラフに入れ、第2打はグリーン左手前のバンカーへ。そこからのパーセーブに失敗し、ミケルソンは1アンダーへ後退。17番パー3もピンの右6メートルに付けておきながら3パットでボギーとし、イーブンパーまで後退した。対するタイガーも16番はラフとバンカーにつかまってボギーとしたが、すでにミケルソンとの差は4打。17番は無難にパー、18番は3パットでボギーとなったが、それでも余裕の勝利となった。
タイガーは今日36-36=72、通算3アンダーで優勝。2度目の全米オープンタイトルと優勝賞金100万ドルを獲得し、年間グランドスラム達成へまた1歩近づいた。タイガーのメジャー勝利数はこれで8つになったが、優勝の喜びに酔いしれながらもニューヨークの人々への気遣いも忘れない。「全米オープンは常に特別な大会だけど、9月に起こった出来事や傷ついた人々の傷跡が残るこの地で開催されたこの大会は、もっともっと特別」と語った。
ミケルソンは今日35-35=70、通算イーブンパーで単独2位。またしてもメジャー優勝を逃す結果になったが、それでもインタビューにしっかり生真面目に答える姿には悲壮感が溢れていた。「何と言っていいのかわからない。今日はいいプレーができたし、4日間を通していいプレーをしたと思う。今日、もちろんスコアを伸ばしたかったけど、13番でバーディを取って2打差に詰め寄ったときは、(自分が)いいショットができたのだと実感することができた。とてもエキサイティングな1日だった。素晴らしいチャンピオンシップで最後まで争うチャンスが持てたことに感謝しています」
3位はジェフ・マガート。活躍が期待されたガルシアは4オーバーのラウンドで優勝争いから脱落し、4位に終わった。
日本人選手の成績だが、6オーバー17位タイからスタートした丸山茂樹は今日2バーディ、5ボギーで73。通算9オーバー、16位タイという好成績でフィニッシュした。「昔は全米オープンは嫌いだなんて言っていたけど、出たら出たで楽しい。何千人という選手が出たいと思っているこの大会に出て、大歓声の中で満足できる成績を残し、いい思い出になった。トップ20に入れたのは上出来です」と、笑顔で語っていた。
10オーバー42位タイからスタートした片山晋呉。2番でボギーを喫したものの4番パー5ではイーグル達成。ドライバーで290Yを飛ばした後、5Wでグリーンの右サイドまで持っていき、第3打は30YをSWで打って直接カップインさせた。今日は1イーグル、3バーディ、8ボギーで73。通算13オーバー、35位タイと順位を上げて終了した。「上がり2ホールのバーディは自分が求めていたものが出たという感じでうれしい。自分はやれるという自信になる。ギャラリーの声援もすごいし、ホント、アメリカは楽しい気分が味わえていいよね」。
8オーバー25位タイからスタートした田中秀道。前半は2バーディ、1ボギーで「最高のフロントナイン」だったが、後半は「思ったより風が強く、5~10ヤード(距離感が)狂った」とのことで、ボギーが3つ、ダブルボギーが2つ。4日間の中では最も悪い76となり、通算14オーバー、37位タイへ順位を落とした。「最後(18番)のダブルボギーは悔しかった。でも、今年初めて内面的に満足できたので、来週から(PGAツアーの試合が)楽しめそう」と、悔しいながらも自分なりの前進を感じ取っていた。
レポート&写真:BEYONDSHIP