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【WORLD】United They Stand(1) 戦場からゴルフコースへ 米国退役兵とボランティア
Golf World(2011年10月24日号) texted by Ron Sirak
曇り空が広がるある秋の日、疲労困憊の兵士10数名は、ハッシュブラウンズが山盛りとなって分けられた朝食のプレートに手をつけていた。ワシントン州のレイクウッドにある、Carrs Restaurant & Barオーナーのクリス&エレン・カー夫妻による手厚いサポートの一環で、長いテーブルを囲んだ兵士達からは笑い声が絶えない。米国兵士達にとって、フォートルイスの軍事施設駐在は最も好まれる任務の1つだが、10年前アフガニスタンで開戦しイラクへと戦場の地を移した戦争を実体験してきた兵士達にとっては、もう戦地に赴く必要はなくなった。多くの兵士達が戦争での傷を負い帰還。それが、この戦争でアメリカ兵氏達が経験した真実だ。
フォートルイスに置かれる第一軍団は1917年に創設され、第一次世界大戦の折には、タコマのアメリカンレイク近く87000エーカーにも及ぶ地域に分散された。基地内の広告看板には「9月は自殺防止月間です。より快適に暮らしましょう!」と書かれてあった。傷ついた兵士達の治療は、全てマディガンメディカルセンターで執り行われ、湖を越えた場所にある施設では、北西部に在住の退役軍人への治療が行われている。その中でも、退役軍人への精神治療を行うベテランズ・アドミニストレーション(VA)ホスピタルという施設の一環である、アメリカンレイクベテランズGC(ゴルフコース)という施設は、特に治療効果が高いユニークな施設として知られている。
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特筆すべき点として、このGCで働く200人の従業員全員がボランティア。すなわち、管理者からゴルフインストラクター、朝5時にやって来るメンテナンス業者、そしてコースから離れたところにある修理所、通称“エリア51”で働く人間に至るまで、全員が無給で奉仕しているという。ここでは現役軍人から女性士官、そして身体の自由がきく退役軍人から戦争により心身に何らかの悪影響を受けた兵士達が、ゴルフに興じることが出来る。アメリカンレイクベテランズGCは、戦争経験のある兵士達にとって単にゴルフをプレーする場としてだけではなく、忌々しい経験を忘れられる場であり、生きる支えにもなっている。
「ここでは障害があっても見た目にはわからない人も多いですよ」と語ってくれたのは、アメリカンレイクベテランズGCのマネージャーを務めるブルース・マッケンティ氏。マッケンティ氏も元軍人で、ベトナム戦争時には乗っていたヘリコプターが狙撃され、墜落した際に背骨骨折という重傷を負った。「中には酷いPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症している人もいて、プレー中に自殺を図ったケースもありました」、「ゴルフをプレーすることは、彼等にとって、ある種の希望であり、同じ様な境遇を体験した人間と接し、お互いの痛みを分かり合えるコミュニティ形成の場でもあります。この場所こそ、もう一度社会に戻るための第一歩だと思います。それは我々のようにボランティアで働いている人間にとっても等しく言えることで、プレーヤーから色々なことを学ばせてもらっているんです」と、マッケンティ氏は実情を語った。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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