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9年ぶり復活V狙う佐藤信人が単独首位に

千葉県の鷹之台カンツリー倶楽部で開催中の国内男子メジャー第3戦「日本オープン」3日目。佐藤信人が通算6アンダーの単独首位に立った。2位のネベン・ベーシック(オーストラリア)とは2打差。「日本プロゴルフマッチプレー選手権プロミス杯」など3勝をマークした2002年以来、9年ぶりの優勝へ王手をかけた。

長年自分を苦しめてきた悪夢が、嘘のようだった。3アンダーの3位からスタートした佐藤は、3番でグリーン左からのアプローチをピンそば1メートルにつけパーとすると、5番からの2連続バーディで波に乗った。11番では8メートルを決めてパーセーブ。さらに14番では2メートル、15番では3メートルの“いやらしい”パーパットを沈め続けた。

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数年前からグリーン上で、突如手が動かなくなるパッティングイップスを発症。だがこの国内最高峰の舞台の姿は堂々たるもの。自身も「ああいうのがいっぱい入って、自分のこととは思えないくらい。自分としては治ったとは思っていない」と驚きを隠さない。

2002年までに通算9勝をマークし、欧州ツアーに挑戦。しかしそれ以降、かつてのパッティングの名手はその“病”に苦しんできた。「最後に優勝争いしたのがいつか覚えていない」。握り方を変え、パターを代え、練習器具を代え、試行錯誤を繰り返したが、暗闇の中をさまようばかり。「言葉は悪いが病んでいた」。2009年にはついにシード権も喪失した。

光をつかむために選んだ道は「昔からやっていたスタイル」という一途な反復練習だった。精神的なネガティブ要素の悪循環が一因とされるイップスと正面から向き合った。練習中、頭の中に描くのは何度も経験してきた試合中の究極の緊張状態。「“気持ち悪い”と思いながら練習した」。昨年からはメンタルトレーナーのアドバイスも受けながら、自分のミスに過敏に反応しない、自分を必要以上に責めないことを心掛ける。「自分を受け入れること。そういうことから逃げないでやってきたのが良かった」とつぶやいた。

今大会は最終予選会での通過を逃したものの、繰り上げで出場が決まった。そして鷹之台CCは実家から20分と地元だ。少年時代から慣れ親しんだ地で忘れかけていた思いが甦る。「いろんな感情が波打ちます。こんなところでプレーできるのがうれしい。こんな位置にいられて、こんなところ(インタビュー)で喋っているのも信じられない。緊張とか、不安とか、自分にとっては喜ばしいこと」。舞台は整った。復活への大きな光は、すぐそこだ。(千葉県千葉市/桂川洋一)

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