壮絶な三つ巴のプレーオフ、細川が4年ぶり悲願の優勝!
諦めないカズの復活【GDOコラム】~2005年日本ゴルフツアー選手権~
細川和彦「3メートル四方の空間が空いていたのでそこを狙った」。絶体絶命かと思われた18番の2打目。ミラクルショットでグリーン奥に。そこから寄せてパーパットを沈め奇跡的なパー。デビッド・スメイル、今野康晴とともにプレーオフに突入した。
「まだ諦めていないですよ」。1999年の日本シリーズ練習日、優勝でもしない限り見えてこない賞金王へ向けて細川和彦は勝ちを狙いにいった。そして宣言どおりの優勝。しかもトップと4打差を跳ね返しての大逆転優勝だった。結局、1999年の最終戦「沖縄オープン」では好成績が残せず賞金王は尾崎直道に譲ってしまったが、“諦めないカズ”の存在で1999年ツアーは最後まで大いに盛り上がり、細川自身も賞金ランキング2位に入った。
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しかし2000年以降、細川の成績は低迷。2001年には「アコムインターナショナル」で勝利を挙げるが、その直後17日間の長期入院を強いられた病気にも見舞われ、勝ち星から完全に見放された。現在米ツアーで活躍する丸山茂樹とも比較されるほどの逸材だった細川の影は、日本男子ツアーの中で薄くなっていった。
久しぶりに上位にきた試合がこの日本ツアー選手権だった。「カミさんに大きな誕生プレゼントを贈りたい」。そう、最終日は妻である玉枝さんの誕生日。先週までの賞金ランキング43位と低迷している中で、久しぶりに“諦めないカズ”が試合前に宣言をしていた。
最終日はシーソーゲームでプレーオフに突入。その2ホール目、今野、スメイルともパーを逃し細川自身3ヤードのパーパットを残していた。「今日はパターが入っているから大丈夫」。キャディからの言葉にも助けられ見事カップイン。「打った瞬間にラインに乗ったのが分かった。あとは入ってくれと願った」。ボールは見事カップに吸い込まれ、その瞬間、細川の地元・茨城のギャラリーからは大歓声。4年ぶりとなる勝利を飾った。
4年前から患っている潰瘍性大腸炎はまだ完全に治ったわけではなく、再発する恐れもあるという。「これで秋の日本オープンや日本シリーズにも出られる。今後の試合は全部出て今期中にもう1勝したいですね」。細川の体調を気遣い出場試合数を絞った方が良いと進めても聞く耳を持たず。復活した“諦めないカズ”はもう次の優勝を夢見ていた。