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プレーヤーズラウンジ

<石川遼をきっかけに、ゴルフに興味を持たれたファンのみなさまへ・・・>

いつも爽やかな振る舞いと、年齢に似合わない丁寧な物腰、人なつこい笑顔・・・・・・。石川遼を嫌いだという選手は一人もいないだろう。しかし、その石川と同じ組で回るということになれば、話しは別だ。

もちろん、石川のプレーマナーが完璧であることは、いまさら疑う余地はない。また谷口徹が、「ベテランも若手も、みんな遼くんには負けたくないと思っている。僕ももちろんそうです。遼くんが、選手全員の励みになっていることは間違いない」と証言したように、そんな18歳と一緒にプレーすることは、何よりの刺激となるはずだ。

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しかも、現在賞金レースの渦中にいて、まさに今やツアーの牽引役として君臨している。矢野東も、「遼が男子ツアーの質を上げた。今年の予選カットラインが軒並みアップしているのは遼の影響であり、去年までのイメージで戦っていると、確実に置いて行かれる。遼が間違いなく男子ツアーの底上げをした」と分析する。

「だから、そんな遼と回るのは、こちらも刺激になって凄くいいですよ」と、矢野。ただ問題は、それを観戦する側のマナーだ。大勢のみなさんが、足を運んでくださることは、非常にありがたい。だがプレーしているのは、みなさんがお目当ての石川だけではない。

ゴルフは確かに個人競技だが、同伴競技者がいて、お互いがお互いを思いやって、はじめて競技が成り立つ。その秩序を観戦する側が、壊してしまっていたとしたら、それは非常に残念だ。

ところ構わずに鳴る携帯電話にカメラのシャッター音。石川がプレーを終えるなり、いっせいに動き出す大勢の人の波。それは、どんなにキャディやスタッフが制しても留まることはなく、逆に「私はゴルフではなく、遼くんを見に来ているの」と開き直る人までいたりして、目も当てられない惨状だ。

前述の矢野も、9月のANAオープンで石川とラウンドして被害を被った一人だ。「そんなことで集中力を切らす自分も悪いのだけど・・・」と断った上で、「でも、僕は気になってしまうんです。特に、バーディパットを打つ直前に人に動かれると、どうしたって集中できないし、それになんだかとても寂しい気持ちになってしまって・・・。ほんの数秒なんだから、僕のバーディパットくらいみんな見てよと言いたくなってしまった」と、打ち明ける。

そして、その現象はまさに、一時期のタイガー・ウッズと同じで、彼と回った選手はその大半が、ただひたすらウッズを追いかける“タイガー・マニア”にやられると言われている。「ウッズはそれも強さのひとつにしていると言われていて、そんな現象こそスーパースターの証しでもある。遼くんもその域に入りつつあるのではないか」と矢野は言ったがだからといって、見逃してはおけないほど事態が深刻であることは確かだ。

ゴルフを知らない方にはピンと来ないかもしれないが、制止した状態から止まっている小さなボールを、ずっと遠くのこれまた小さなターゲットに向かって打つには、かなりの集中力を必要とする。

そのために選手たちは打つ直前までに入念にその準備を整え、極限まで緊張感を高めていく。そしておもむろにアドレスに入り・・・。と、その瞬間に背後や前方で大勢の人が動いたり、騒いだりすれば、どうなるか。当然のことながら気は散るし、普段のパフォーマンスは発揮できにくくなる。だからこそ、ゴルフにはほかのスポーツにはないマナーや、思いやりの精神が要求されているのだ。

「そんなことで集中できなくなる選手が悪い」という人も中にはいるようだが、そんな言い分はゴルフを愛するものとしては、あまりにも悲しい。

石川の存在で初めてゴルフに興味を持たれたというならばぜひこの機会に、その石川もまた愛してやまないゴルフが、どういう性質を持つスポーツなのかを少しでも知っていただければと思う。

近頃では、現状を気にかけた石川自身が大声を張り上げて、「止まってください」と大きく手を上げて、自らギャラリーを制するシーンがひんぱんに見られるようになった。毎日のように大ギャラリーを引き連れてのプレーに、それでなくとも18歳には心的プレッシャーが大きいだろうが、その石川自身がそうやって、さらに気を遣わなくてはならないような状況を、ファンのみなさんはどう見るだろうか。

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